実践経営情報

2022.12.20
2021年分相続税の申告状況公表 課税割合15年以降最高の9.3%

 国税庁が公表した2021年分相続税の申告状況によると、2021年中(2021年1月1日~12月31日)に亡くなった人(被相続人)は、過去最高だった2019年(138万1093人)を上回る143万9856人だった。このうち相続税の課税対象被相続人数は、前年比11.6%増の13万4275人で、課税割合は9.3%(2020年分8.8%)だった。今回の対象は、2022年10月31日までに提出された相続税額のある申告書に基づき集計している。
 課税割合9.3%は、前年より0.5ポイント増加し、2015年の相続税の基礎控除引下げ以降では最も高く、初めて9%台に入り、相続で税金がかかるのは100人に9人という状況となった。
 また、相続財産価額から被相続人の債務や葬儀費用などを差し引き、相続開始前3年以内の生前贈与等を加算した相続税の課税価格は、18兆5774億円で前年比13.3%増加し、税額は2兆4421億円で同16.8%増加した。
 被相続人1人当たりでみると、課税価格が前年比1.6%増の1億3835万円(相続税額のない申告書に係る価格は5106万円)と微増となったが、税額は1819万円で同4.7%増加した。
 相続財産額の構成比は、「現金・預貯金等」が34.0%、「土地」が33.2%とともに3割強を占め、「有価証券」が16.4%、退職金や生命保険などが含まれている「その他」が11.3%、「家屋」が5.1%の順となっている。

2022.12.13
地方交付税不交付団体を再算定 当初算定より6団体減の67団体

 総務省はこのほど、2022年度第2次補正予算で増額した地方交付税の配分状況についてまとめた「2022年度普通交付税再算定大綱」を閣議報告した。それによると、地方交付税(普通交付税)不交付団体は7月の当初算定より6団体減少の67団体(道府県分1=東京都のみ、市町村分66)となった。普通交付税の総額は、当初予算額より4671億円(2.8%)増加して17兆4376億円となった。
 地方交付税は、地方公共団体間の財源の不均衡を調整するため、地方法人税の全額と国税の一定割合を国が地方に再配分するもの。このため、不交付団体は財政が豊かともいえる。
 2007年に142あった不交付団体は、リーマンショック後の2009年には95団体、2010年には42団体に急減。これを底に以後徐々に増えてきた。2022年度は再算定後67団体に増え、その結果、交付団体は46道府県、1652市町村の計1698団体となった。再算定した2022年度普通交付税の額は、道府県分が9兆3368億円(当初算定額比2.6%増)、市町村分が8兆1008億円(同3.0%増)の総額17兆4376億円(同2.8%増)にのぼる。
 都道府県別にみると、「北海道」が6489億4700万円で最も多く、次いで、「兵庫県」(3460億6400万円)、「大阪府」(3109億5900万円)、「福岡県」(2899億5400万円)と続いている。
 不交付の東京都を除くと、最少は「香川県」の1276億2500万円だった。

2022.11.29
2021事務年度法人税調査を公表 申告漏れ所得金額6028億円把握

 国税庁が公表した法人税等の調査事績によると、今年6月までの1年間(2021事務年度)に、あらゆる資料情報と提出された申告書等の分析・検討を行った結果、大口・悪質な不正計算等が想定される法人など、調査必要度の高い法人4万1千件(前事務年度比63.2%増)を実地調査した。その結果、申告漏れ所得金額は6028億円(同14.0%増)、法人税と消費税の追徴税額は2307億円(同19.2%増)だった。
 申告内容に誤り等が想定される納税者に対しては、“簡易な接触”を活用し、自発的な申告内容等の見直し要請を6万7千件(前事務年度比▲2.0%)実施。その結果、申告漏れ所得金額は88億円(同16.6%増)、追徴税額は104億円(同67.5%増)だった。簡易な接触とは、税務署において書面や電話による連絡や来署依頼による面接により、納税者に対して自発的な申告内容の見直しなどを要請するもの。
 新型コロナウイルスの影響を受けつつも、調査件数、申告漏れ所得金額、追徴税額が増加するなか、実地調査1件当たりの追徴税額は570万1千円(前年度比▲27.0%)となった。
 また、源泉所得税については、実地調査の件数は4万8千件で、源泉所得税等の非違があった件数は1万5千件、追徴税額は228億円。簡易な接触の件数は12万9千件で、追徴税額は78億円となっている。

2022.11.22
「税理士試験の合格者数は620人 最難関科目は消費税法の11.4%

 国税庁が公表した2022年度税理士試験結果によると、合格者は前年より35人(6.0%)多い620人。第72回目となる今回の税理士試験は、前年から5.7%増の2万8853人が受験した結果、一部科目合格者は同9.9%増の5006人で、合格科目が5科目に達し税理士資格を取得した者は620人、うち、女性は全体の30.2%に当たる187人。一部科目合格者を含めた合格率は同0.7ポイント増の19.5%だった。
 合格者を学歴別にみると、「大学卒」が493人で最も多く、前年比58人増と全体を押し上げた。次いで「専門学校卒」が59人、「高卒・旧中卒」が44人、「短大・旧専卒」16人、「大学在学中」が0人、「その他」が8人となっている。 年齢別では、最多が「41歳以上」で274人と全体の44.2%を占め、以下、「31~35歳」の114人、「36~40歳」の112人、「26~30歳」の82人、「25歳以下」の38人の順だった。
 11科目ある試験科目の平均合格率は、前年(16.5%)を0.2ポイント上回る16.7%。科目別では、「簿記論」が前年を6.5ポイント上回る23.0%でトップとなって全体の合格率を引き上げ、次いで、「固定資産税」が18.4%、「住民税」が17.2%で続いた。一方、最低は昨年に引き続き「消費税法」が11.4%で最難関科目となった。
 ほかの主な科目では、「法人税法」12.3%、「所得税法」14.1%などとなっている。

2022.11.15
「後継者問題」が急速に改善へ 22年後継者不在率、初の60%割れ

 日本企業の「後継者問題」が急速に改善へと向かっている。帝国データバンクが発表した「全国企業後継者不在率動向2022年調査」結果によると、後継者が「いない・未定」とした企業が 15.4万社にのぼった。この結果、全国の後継者不在率は57.2%となり、コロナ前の2019年からは8.0ポイント、2021年からも4.3ポイント低下し、5年連続で不在率が低下。また、調査を開始した2011年以降、後継者不在率は初めて60%を下回った。
 コロナ禍という未曽有の危機のなかで、コロナ関連融資の借り入れも含め、自社事業の将来性に改めて向き合った中小企業は多いとされる。こうしたなか、地域金融機関をはじめ事業承継の相談窓口が全国に普及したほか、第三者へのM&Aや事業譲渡、ファンドを経由した経営再建併用の事業承継など、プル・プッシュ型を問わず事業承継メニューが全国的に整ったことも、後継者問題解決・改善の前進に大きく寄与した。
 先代経営者との関係性(就任経緯別)をみると、2022年の事業承継は「同族承継」により引き継いだ割合が34.0%に達し、全項目中最も高かった。しかし、前年からは4.7ポイントの低下となり、親族間の事業承継割合は急減。一方、血縁関係によらない役員などを登用した「内部昇格」が33.9%で、前年から2.5ポイント増加した。また、買収や出向を中心にした「M&Aほか」の割合が20.3%と、調査開始以降で初めて20%を超えた。

2022.11.8
税金徴収漏れ約1億6千万円指摘 46税務署にて徴収不足が72事項

 会計検査院が公表した2021年度決算検査報告によると、各省庁や政府関係機関などの税金のムダ遣いや不正支出、経理処理の不適切などを指摘したのは310件、約455億2351万円(297件分)だった。前年度に比べ、指摘件数は100件増加。前年度に引き続き、新型コロナ感染防止への対応として、検査官による実地検査が検査対象機関に配慮する中で、指摘件数は増加したが、指摘金額では前年度の約2108億円を大幅に下回った。
 財務省に対しては、法令違反に当たる不当事項として、税金の徴収額の過不足1億6216万円(うち過大154万円)が指摘された。検査の結果、46税務署において、納税者69人から税金を徴収するに当たり、徴収不足が72事項、1億6062万円、徴収過大が2事項、154万円。前年度は、42署において徴収不足が52事項、1億5492万円だったので、徴収不足はほぼ横ばいだったことになる。昨年度、徴収過大はなかった。
 徴収が過不足だった74事項を税目別にみると、「法人税」が28事項(うち過大1事項)で徴収不足が8129万円(同▲96万円)と最も多く、以下、「申告所得税」22事項、同4922万円、「消費税」13事項、同2240万円、「相続・贈与税」7事項(同1事項)、同459万円(同▲58万円)、「源泉所得税」2事項、同171万円などだった。 これらの徴収過不足額は、会計検査院の指摘後、全て徴収決定・支払決定の処置がとられている。

2022.11.1
インボイス登録、6月から急増 法人事業者は9月末で約96万件

 東京商工リサーチが、国税庁の適格請求書発行事業者サイトの公表データを独自に分析調査した結果、法人の登録数は2021年10月から2022年5月までは低調な動きだったが、6月に入ると12万4568件に急増、9月は月間最多の15万4816件が登録された。インボイス制度の認知に伴い、9月末の法人の事業者登録は96万1918件に達した。総務省の「経済センサス」の法人数(187万7488件)を基に試算すると、法人の半数が登録している。
 一方、9月末の個人企業の登録は24万1792件で、登録率は12.2%にとどまる。個人企業は課税売上高1000万円以下の免税事業者が多く、取引先によっては制度登録の必要がなく、登録率は法人と比べて低い傾向にある。だが、同社が実施した企業調査では、制度開始後、免税事業者とは「取引しない」と9.8%の企業が回答。対応を決めていない「未定」も46.7%あり、このまま登録しないか、取引継続のため登録するか、個人企業の悩みは深い。
 2022年9月末の法人登録済みの約96万件を都道府県別にみると、登録数トップは「東京都」の15万6745件(構成比16.2%)、次いで、「大阪府」7万8524件、「愛知県」5万9799件など、大都市圏が上位を占めた。また、登録率では、「東京都」が57.6%で最も高かく、8月末は47.4%で5位だったが、9月に登録が一気に進んだ。2位は「山梨県」が57.1%(前回16位)と大幅に順位をあげた。3位は「大阪府」の56.2%(同4位)だった。

2022.10.25
7月の事業者間取引の消費税転嫁 9割超が消費税「全て転嫁できた」

 経済産業省では、2014年4月の消費税8%、2019年10月の消費税10%への消費税率引上げを踏まえ、転嫁状況を定期的にモニタリングするため、事業者へのアンケート調査を実施しているが、このほど、2022年7月実施の調査結果を取りまとめ公表した。
 7月調査結果(有効回答数1万728事業者)によると、消費税の転嫁状況について、事業者間取引では93.7%と9割超の事業者が「全て転嫁できている」と回答、前年度比で5.1ポイント増加した。「全く転嫁できていない」と答えた事業者は、1.3%で、前年度比では▲0.6ポイント減少した。また、「一部転嫁できている」と答えた事業者は、3.1%だった(2021年度平均3.8%、前年度比▲0.7ポイント)。
 事業者間取引において価格転嫁ができた理由は、価格転嫁できた事業者のうち、57.4%が「以前より、取引先において、消費税率引上げ分を受け入れる、という理解が定着しているため」と回答。次いで、「消費税転嫁対策特別措置法により消費税転嫁拒否行為が禁止されているため」が30.8%、「本体価格と消費税額を分けることにより、交渉しやすくなったため」が17.3%だった。
 一方、転嫁ができていない理由は、転嫁できなかった事業者のうち、「自社商品等の競争が激しく価格を引上げると他社に取引を奪われるおそれがある」との回答が35.9%、次いで「取引先の業界の景気が悪く、消費税率引上げ分の上乗せを受け入れる余裕がないと考えられる」が30.8%となった。

2022.10.18
21年分民間平均給与は443万円 3年ぶり増加でコロナ前の水準に

 国税庁が9月28日に公表した「2021年分民間給与実態統計調査」結果によると、2021年1年間を通して民間企業に勤めた給与所得者の平均給与は443万円で、前年に比べ2.4%増加した。平均給与は3年ぶりの増加で、新型コロナ感染拡大前の水準に回復した。
 2021年12月31日現在の給与所得者数は、前年に比べほぼ横ばいの5931万人。給与総額は225兆4195億円(前年比2.8%増)、所得税額は11兆1870億円(同8.2%増)だった。
 給与所得者のうち、1年を通じて勤務した給与所得者数は、前年比0.5%増の5270万人(正規3588万人、非正規1271万人)となり、2年ぶりの増加となった。
 その平均給与443万円の内訳は、平均給料・手当が同2.2%増の377万円と2年連続の増加、賞与は同3.1%増の67万円と2年ぶりに増加した。平均給料・手当に対する平均賞与の割合は前年から0.2ポイント増の17.7%となった。
 男女別の平均給与は、男性(平均年齢46.9歳、平均勤続年数14.2年)が前年比2.3%増の545万円、女性(同46.8歳、10.4年)は前年から同3.2%増の302万円となり、調査を開始した1978年以降で初めて300万円を超え最高額となった。また、正規、非正規別にみると、1人当たりの平均給与は、正規が同2.6%増の508万円、非正規は同12.1%増の198万円と増加したが、2.6倍の差がある。

2022.10.11
国税庁、年調手続き電子化をPR 企業・従業員双方にメリット多い

 国税庁が年末調整手続きの電子化をPRしている。2021年1月の申告分から、法定調書(年末調整)の電子化が義務づけられた。対象企業は、前々年度(2年前)に発行した法定調書が種類ごとにみて100枚以上である企業だ。対象となった場合、e-Taxや光ディスク等で申告が必要となる。ただし、電子化の対象となるのは法定調書の種類ごとになるため、年末調整にかかわる法定調書を100枚以上発行していなければ、電子化の対象とはならない。
 これまでの年末調整では、従業員は保険会社から保険料控除証明を書面(ハガキ)で受け取り、それを基に手書きで保険料控除申告書を作成して書面で勤務先に提出するなど、年末調整の一連の手続きを書面で行っていた。これらの一連の手続きが電子化されると、従業員は控除証明書を電子データで受け取り、そのデータを電子化に対応した民間ソフトウェアや国税庁が提供する「年調ソフト」にインポートすることで、各種控除申告書をデータ作成しメール等で勤務先に提出ができるようになる。
 国税庁では、電子化のメリットとして、(1)保険料控除等の控除額の検算が不要、(2)控除証明書等のチェック事務が削減、(3)従業員からの問い合せが減少、(4)年末調整関係書類の保管コストが削減を、また、従業員のメリットとして、(1)控除額等の記入・手計算が不要、(2)控除証明書等データを紛失しても再交付依頼が不要、(3)勤務先からの問合せが減少、などを挙げて電子化を勧めている。

2022.9.20
金融庁、2023年度税制改正要望 NISAの抜本的拡充等が中心

 金融庁は、2023年度税制改正要望において、岸田政権が掲げる「資産所得倍増プラン」を促す改正要望として、少額投資非課税制度(NISA)の恒久化や非課税保有期間の無期限化、年間投資枠の拡大などの抜本的拡充を中心に、資産形成促進に関する費用に係る法人税の税額控除の導入などを盛り込んだ。
 NISAの抜本的拡充では、制度の恒久化とともに、非課税保有期間(現行:一般NISA5年間、つみたてNISA20年間)の無期限化、年間投資枠(同120万円、40万円)を拡大し、弾力的な積立を可能にすること、非課税限度額(同600万円、800万円)の拡大(簿価残高に限度額を設定)、長期・積立・分散投資によるつみたてNISAを基本としつつ、一般NISAの機能を引き継ぐ「成長投資枠(仮称)」の導入を求めた。また、つみたてNISAの対象年齢(現行20歳以上、2023年以降は18歳以上)を未成年者まで拡大することを要望した。
 資産形成促進に関する費用に係る法人税の税額控除の導入は、今後、企業による従業員の資産形成に関する取組みを促進していくことが重要として、その取組みを促す観点から、資産形成促進に関する費用(例えば、企業が行う金融経済教育に関する費用)の一定割合について、法人税の税額控除を導入することや、職場つみたてNISA奨励金が「賃上げ促進税制」の対象となる旨を明確化することなどを求めている。

2022.9.13
2021年度の企業版ふるさと納税 寄附件数2.2倍・金額2.1倍に増

 内閣府がこのほど公表した「地方創生応援税制(企業版ふるさと納税)」の2021年度寄附実績によると、同年度の企業版ふるさと納税の寄附件数は4922件(前年度2249件)で、その寄附金額は225億7500万円(同110億1100万円)となり、前年度に比べて件数で約2.2倍、金額で約2.1倍と大幅に増加した。2020年度税制改正での税額控除割合の引上げ等の効果が表れているようだ。
 また、寄附を行った企業数も3098企業(前年度1640企業)と、前年度に比べて約1.9倍増加して3000企業を超え、寄附税制の裾野が確実に広がっている。寄附受入額が多い地方公共団体をみると、「静岡県裾野市」17億4410万円、「群馬県太田市」10億3660万円、「徳島県神山町」9億9900万円が上位3位。都道府県別に寄附額をみると、「北海道」(38.9億円)、「静岡県」(19.7億円)、「群馬県」(17.1億万円)の順に多い。
 一方、寄附を受領した地方公共団体の数は956団体となり、前年度比1.8倍に増加。この結果、制度開始の2016年度から2021年度までの6年間に1回以上寄附を受領し本制度を活用した団体は1028地方公共団体に達している。また、寄附を活用した事業の分野別実績額をみると、地域産業振興、観光振興、農林水産振興、ローカルイノベーション、人材の育成・確保等の「しごと創生」が120億9710万円で最も多い。次いで、小さな拠点、コンパクトシティなどの「まちづくり」が74億8250万円だった。

2022.9.06
21年度の滞納残高は2年連続増加 消費税の新規発生が17年連続最多

 国税庁がこのほど公表した2021年度租税滞納状況によると、今年3月末時点での法人税や消費税など国税の滞納残高が22年ぶりに増加した昨年度に引き続き増加したことが明らかになった。これは、新型コロナウイルス感染症の経済対策で特例猶予制度が適用され、滞納の新規発生が抑えられていた分が、猶予期限を過ぎて上積みされたことなどが要因。新規発生滞納額は前年度に比べ27.2%増の7527億円と2年連続で増加した。
 その上、整理済額が6956億円(前年度比34.2%増)と新規発生滞納額を下回ったため、今年3月末時点での滞納残高は6.9%増の8857億円と2年連続で増加した。ただし、今年3月までの1年間(2021年度)に発生した新規滞納額は、最も新規滞納発生額の多かった1992年度(1兆8903億円)の約40%まで減少。
 また、2021年度の滞納発生割合(新規発生滞納額/徴収決定済額)は前年度比0.2ポイント増の1.1%と低水準で推移。滞納発生割合は、前年度の2020年度は国税庁発足以来、最も低い割合の0.9%だった。
 この結果、滞納残高はピークの1998年度(2兆8149億円)の約31%まで減少している。税目別にみると、消費税は、新規発生滞納額が前年度比15.7%増の3997億円と2年連続で増加し、税目別では17年連続で最多、全体の約53%を占める。一方で、整理済額が3692億円と下回ったため、滞納残高は9.4%増の3551億円と、2年連続で増加した。

2022.8.30
e-Tax利用件数は順調に増加 申告では5.6%増加の約454万件

 2021年度のe-Taxの利用合計件数は約4243万件で前年度に比べて6.9%増加したことが、国税庁が公表した2021年度におけるe-Tax(国税電子申告・納税システム)の利用状況で分かった。このうち、申告におけるe-Taxの利用件数は約454万件で同5.6%増加した。
 項目別の申告関係の利用件数は、「所得税」1529万1265件(前年対比7.5%増)、「法人税」256万8391件(同5.9%増)、「消費税(法人)」183万7153件(同5.0%増)、「消費税(個人)」92万3382件(同2.9%増)、「印紙税」9万3839件(同5.7%増)、「酒税」4万165件(同6.0%増)と、e-Tax利用率は順調に増加。また、2019年10月からe-Taxがスタートし、利用件数の公表が今回で2回目となる相続税は4万4,035件(前年対比92.7%増)でほぼ倍増となった。この結果、申告関係 全体では、前年度に比べて5.6%増の453万9548件となった。
 申告関係以外の主要手続きでは、「給与所得の源泉徴収票等(6手続き)」が264万6971件(前年対比6.4%増)と増加したが、「電子申告・納税等開始(変更等)届出書」436万8892件(同▲28.4%)などが減少し、これらの合計では前年度に比べて▲18.2%の723万9438件となった。そのほか、上記以外の「申請・届出等手続き」は前年度から26.3%増の1439万4790件と大幅に伸びた。以上の結果、全体でのe-Taxの利用件数の合計は同6.9%増の4243万2458件と順調に増加している。

2022.8.09
21年新設法人、1割増の14万社 インボイスを控え合同会社が人気

 東京商工リサーチの調査によると、コロナ禍の2021年(1~12月)に全国で新設された法人は、14万4622社(前年比10.1%増)と1割増えた。
 このうち、合同会社は3万6934社(同10.9%増、構成比25.5%)となり、株式会社の9万6025社(同10.8%増)に次いで多く、新設法人の4社に1社を占める合同会社の存在感が増している。合同会社は、設立の手続きが簡単で、資本金1円でも設立できるメリットがある。
 この背景には、2023年10月のインボイス制度開始に向け、個人事業主が法人化に際し、設立が簡単で運用負担も少ない合同会社を選んでいることもあるようだ。
 インボイス制度の開始を控え、個人事業主の動きが慌ただしくなっている。個人事業から法人に移行すると最長2年間の消費税の納税義務を免除される場合があり、法人設立が容易な合同会社が注目を集めているわけだ。
 合同会社を産業別にみると、10産業のうち、不動産業を除く9産業が前年より増加。唯一、減少した「不動産業」は金融緩和などで都市圏を中心に投資が流入し、不動産価格の高騰で新規参入が控えられたようだ。増加が目立つのは「建設業」(前年比42.5%増)で、コロナ禍の2020年に減少した反動もあり、2021年は個人企業の法人化や独立が活発だった。また、減少傾向にあった「金融・保険業」も一転して増加した。

2022.8.02
帳簿の提出がない場合等の整備 過少申告加算税等の加重措置

 2022年度税制改正では、納税環境の整備の一環として、帳簿の提出がない場合等の過少申告加算税等の加重措置が整備されている。
 過少申告加算税制度及び無申告加算税制度について、一定の帳簿の提出がない場合又は記載すべき事項のうち収入金額の記載が不十分である場合には、申告漏れ等に係る法人税等の5%又は10%に相当する金額が加算される。適用時期は2024年1月1日以後に法定申告期限等が到来する国税からとなる。
 納税者が、一定の帳簿に記載すべき事項に関し所得税や法人税、消費税に係る修正申告書や期限後申告書の提出、更正や決定があった時前に、国税庁等の職員から帳簿の提示又は提出を求められ、かつ、(1)帳簿を提示等しなかった場合や収入金額等の記載が「著しく」不十分な場合、(2)収入金額等の記載が不十分な場合には、過少申告加算税又は無申告加算税について法人税等の5%又は10%に相当する金額が加算される。
 具体的には、国税職員から帳簿の提示等をもとめられ、かつ(1)か(2)の場合のいずれかに該当するときは、その帳簿に記載すべき事項に関し生じた申告漏れ等に課される過少申告加算税の額又は無申告加算税の額については、通常課される過少申告加算税の額又は無申告加算税の額にその申告漏れ等に係る所得税や法人税、消費税の10%((2)に掲げる場合に該当する場合には、5%)に相当する金額を加算した金額とするとされている。

2022.7.26
2021年度物納申請はわずか63件 件数はピーク時のわずか0.5%

 国の税金は金銭による納付が原則だが、相続税は、財産課税という性格上、延納によっても金銭納付が難しい理由がある場合は、一定の相続財産による物納が認められている。
 国税庁がまとめた2021年度相続税の物納申請状況等によると、今年3月までの1年間の物納申請件数はわずか63件で前年度から▲3.1%(2件)減少、金額も75億円で同▲10.7%(9億円)減少と、件数、金額ともにやや減少した。
 物納申請件数は、バブル崩壊後の1990年度以降、地価の下落や土地取引の停滞などを反映して著しく増加した。それまで年間400~500件程度に過ぎなかったものが、バブル期の地価急騰及びその後の地価急落で、路線価が地価を上回る逆転現象が起こり、土地取引の減少から土地を売ろうにも売れず、1990年度に1238件、1991年度に3871件、そして1992年度には1万2千件台まで急増した。
 しかしその後は、事前に相続税額を試算して納税準備をするなど相続開始前から納税対策を行う納税者が増えたことなどから、1999年度以降は年々減少している。2021年度も減少となったが、ここ10年間は1989年度(515件)以来の1千件割れが続いている。
 2021年度の申請件数はピーク時1992年度(1万2778件)のわずか0.5%、金額でも同じくピーク時1992年度(1兆5645億円)の0.5%にまで減少している。

2022.7.19
審査の請求での救済割合が大幅増 再調査の請求・訴訟のそれは減少

 納税者が国税当局の処分に不満がある場合は、税務署等に対する再調査の請求や国税不服審判所に対する審査請求という行政上の救済制度と、訴訟を起こして裁判所に処分の是正を求める司法上の制度がある。
 国税庁・国税不服審判所が公表した再調査の請求や審査請求、訴訟の概要によると、再調査の請求の発生件数は、全体では前年度から11.9%増の1119件となった。処理件数は、「取下げ等」283件、「却下」57件、「棄却」775件、「一部取消」80件、「全部取消」3件の合計1198件(前年度比19.9%増)。納税者の主張が一部でも認められたのは計83件となり、処理件数全体に占める割合(救済割合)は前年度(10.0%)から▲3.1ポイントの6.9%だった。
 また、国税不服審判所への審査請求の発生件数は、全体では前年度から9.9%増の2458件。処理件数は、「取下げ」294件、「却下」73件、「棄却」1539件、「一部取消」137件、「全部取消」160件の合計2282件(前年度比▲2.0%)だった。納税者の主張が何らかの形で認められた救済割合は同3.0ポイント増の13.0%となった。
 一方、訴訟となった発生件数は、全体では前年度を13.3%上回る187件だった。訴訟の終結件数は、「取下げ等」11件、「却下」17件、「棄却」158件、「国の一部敗訴」6件、「国の全部敗訴」7件の合計199件(前年度比10.6%増)。国側の敗訴(納税者勝訴)割合は同▲1.3ポイントの6.5%となった。

2022.7.12
21年度査察、摘発件数は103件 告発分脱税総額は最少の61億円

 いわゆるマルサと呼ばれる査察は、脱税でも特に大口・悪質なものが強制調査され検察当局に告発されて刑事罰の対象となる。
 国税庁が公表した2021年度査察白書によると、同年度に査察で摘発した脱税事件は前年度より10件少ない103件で、その脱税総額は前年度を12.8%上回る約102億円だった。今年3月までの1年間(2021年度)に、全国の国税局が査察に着手した件数は116件と、前年度(111件)を5件上回った。
 継続事案を含む103件(前年度113件)を処理(検察庁への告発の可否を最終的に判断)し、うち72.8%に当たる75件(同83件)を検察庁に告発。この告発率72.8%は前年度を0.8ポイント下回ったが、昨年度に引き続き高水準だった。
 2021年度は、消費税の輸出免税制度を利用した消費税不正受還付事案を9件、自己の所得を秘匿し申告を行わない無申告ほ脱事案を16件、国際事案を17件、それぞれ告発している。
 近年、査察における大型事案は減少傾向にあり、2021年度の脱税総額102億1200万円は、ピークの1988年度(約714億円)の約14%にまで減少している。1件当たり平均の脱税額は9900万円で、ここ5年は1億円を下回っている。
 告発分の脱税総額は前年度を12.3%下回る60億7400万円となり、統計が残る1972年度以降、過去最少となった。告発分1件当たり平均の脱税額は8100万円となっている。

2022.7.05
住宅取得等資金の贈与の見直し 新非課税制度は適用期限2年延長

 父母や祖父母など直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税措置は、2022年度税制改正において見直されたが、国税庁ではこれを受けて、新非課税制度の周知を図っている。見直しは、適用期限が2023年12月31日まで2年延長され、受贈者ごとの非課税限度額は、受贈者が新非課税制度の適用を受けようとする住宅用の家屋の種類に応じた金額とされる。
 具体的には、住宅取得等資金の贈与を受けて新築等をした住宅用家屋の区分に応じ、(1)耐震、省エネ又はバリアフリーの住宅用家屋は1000万円、(2)それ以外の住宅用家屋は500万円とされる。
 新非課税制度は、贈与税の申告書の提出期間内に贈与税の申告書及び一定の添付書類を提出した場合に限り、その適用を受けることができる。また、新非課税制度適用後の残額には、暦年課税にあっては基礎控除(110万円)を適用することができ、また、相続時精算課税にあっては特別控除(2500万円)を適用することができる。
 受贈者等の要件では、贈与を受けた年の1月1日において18歳以上(2022年3月31日以前の贈与の場合は、20歳以上)や、贈与を受けた年の年分の所得税に係る合計所得金額が2000万円以下(新築等をした住宅用家屋の床面積が40㎡以上50㎡未満である場合は1000万円以下)、贈与を受けた年の翌年3月15日までに、住宅取得等資金の全額を充てて住宅用の家屋の新築等をすることなどがある。

2022.6.28
20年度黒字法人が10年ぶり減少 11年ぶり増加した赤字法人割合

 国税庁が公表した「2020年度分会社標本調査」結果によると、同年度分の法 人数は278万8737社(前年度比1.1%増)で、このうち連結親法人は1823社(同5.9%増)、連結子法人は1万3811社(同6.4%増)だった。連結子法人を差し引いた279万560社のうち利益計上法人(黒字法人)が105万782社(同▲0.3%)で微減ながら10年ぶりの減少、欠損法人(赤字法人)は173万9778社(同2.9%増)で2年ぶりの増加となった。
 この結果、全法人に占める欠損法人の割合は62.3%となり、前年度まで過去最も欠損割合が高い72.8%となった2009年度分から下がり続けていた赤字法人割合は、11年ぶりに増加に転じた。
 2020年度調査では、新型コロナウイルス感染症の影響による企業の業績悪化等が反映されたことにより、黒字法人の所得金額は、2009年度分以来10年ぶりに減少に転じた前年度に引き続き2年連続で減少している。
 一方、“景気のバロメーター”と言われる交際費等の支出額は、2兆9605億円と前年度比▲24.9%の大幅減少で2年連続のマイナスとなった。また、このうち税法上損金不算入とされた金額は17.8%に当たる5268億円(同▲46.2%)だった。営業収入金額10万円当たりの交際費支出額は、全体では219円で、これを業種別にみると、最も多いのは「建設業」の629円、最も少ないのは「機械工業」の116円となっている。

2022.6.21
22年分路線価は7月1日に公表 注目される公示地価上昇の影響

 国税庁はこのほど、2022年分の路線価は、7月1日(金)11時から全国の国税局・税務署で公表される予定であることを発表した。路線価は、相続税や贈与税における土地等の評価額算定の際の基準となるもの。
 昨年7月に公表された2021年分の路線価では、新型コロナウイルスの影響により、標準宅地の平均額が前年比▲0.5%と6年ぶりの下落となった。今回は、新型コロナの影響がどれぐらい路線価に反映されるのか注目される。
 路線価は、1月1日を評価時点に、公示価格の8割程度が目安とされている。今年1月1日時点の公示地価は国土交通省が今年3月に公表したが、商業・工業・住宅の全用途(全国)で0.6%のプラスと2年ぶりに上昇。住宅地は0.5%プラス、商業地も0.4%プラスと、ともに2年ぶりに上昇に転じた。新型コロナ感染症拡大はいまだ沈静化していないが、こうした公示地価の状況のなか、路線価がどうなるのか注目されるところだ。
 ところで、古くは紙による路線価図等(冊子)が国税局・税務署に備え付けられていたが、現在、紙は廃止されており、国税局や税務署の窓口には、路線価図等閲覧用のパソコンが設置されている。混雑時は待つ必要も出てくるが、自宅や会社のパソコンから国税庁のホームページの「路線価図等の閲覧コーナー」にアクセスすれば、従来どおり、全国の過去7年分の路線価図等を見ることができる。

2022.6.14
AI税務職員「チャットボット」 インボイス制度相談がスタート

 チャットボットは、これまで所得税の確定申告や年末調整に関する相談で利用されてきたが、5月12日からはインボイス制度に関する相談受付けがスタートした。
 チャットボットとは、「チャット(会話)」と「ロボット」を組み合わせたAI(人工知能)の税務職員「ふたば」のこと。医療費控除や住宅ローン控除など問い合わせが多い質問を入力すると自動回答するシステムで、土日、夜間も含め24時間利用できる。
 チャットボットが対応しているインボイス制度に関する相談は、インボイス制度の概要に関すること、登録申請の手続きに関すること、インボイス発行事業者の情報の公表(公表サイト)に関すること、インボイスの作成に当たっての留意点に関すること、売手の留意点(インボイス発行事業者の義務)に関すること、買手の留意点(仕入税額控除の要件)に関すること、消費税の基本的な仕組みに関することなどに対応している。
 チャットボットの冒頭画面では、利用に際して質問の意図をAIが認識しない場合には表現を変えて再度入力してみることや、相談範囲について、それぞれ過去の年分には対応していないこと、また、回答は専門用語を一般的な用語に置き換えて説明している場合があるため、回答に不明な点がある場合にはタックスアンサー等を確認すること、などの注意点が挙げられている。

2022.6.07
「国の借金」、6年連続で最多更新 2022年3月末時点で約1241兆円に

 財務省が公表した、2022年3月末時点での国債や借入金などを合計した「国の借金」は、2021年12月末から22兆8745億円増えて1241兆3074億円となり、過去最大だった昨年6月末(1220.6兆円)を更新、6年連続で最多を更新した。新型コロナ感染の拡大を受けて編成された2022年度予算では、追加歳出や歳入不足の財源を全て国債の発行に頼っており、さらに今後の経済対策への財政出動が予想され、国の財政は厳しい状況が続きそうだ。
 3月末の国の借金は、2021年12月末に比べ、国債は約16.1兆円増の約1104.7兆円で全体の約89%を占め、うち普通国債(建設国債、赤字国債等)は、約23.3兆円増の約991.4兆円。その内訳は、長期国債(10年以上)が約10.7兆円増加して過去最大の約748.1兆円、中期国債(2年から5年)も約4.7兆円増の約174.2兆円と増加、短期国債(1年以下)も約7.9兆円増の約69.1兆円だったが、前年度末からは約3.6兆円減少している。
 この「国の借金」1241兆3074億円は、2022年度一般会計予算の歳出総額107兆5964億円の約11.5倍、同年度税収見込み額65兆2350億円の約19倍にあたる。年収500万円のサラリーマンが9500万円の借金を抱えている勘定だ。また、わが国の今年4月1日時点での推計人口1億2519万人(総務省統計局の概算値)で割ると、国民1人当たりの借金は、2021年12月末時点の約971万円から約992万円に増加する。

2022.5.31
中古資産の耐用年数の見積もり 多くは「簡便法」の算定を選択

 中古資産を取得して事業の用に供した場合には、その資産の耐用年数は、法定耐用年数ではなく、その事業の用に供した時以後の使用可能期間として見積もられる年数によることができる。ただし、その中古資産を事業の用に供するために支出した資本的支出の金額がその中古資産の再取得価額の50パーセントに相当する金額を超える場合には、耐用年数の見積りをすることはできず、法定耐用年数を適用することになる。
 上記の「再取得価額」とは、中古資産と同じ新品のものを取得する場合のその取得価額をいう。また、使用可能期間の見積りが困難であるときは、「簡便法」により算定した年数によることができる。ただし、その中古資産を事業の用に供するために支出した資本的支出の金額がその中古資産の取得価額の50パーセントに相当する金額を超える場合には、簡便法により使用可能期間を算出することはできない。
 簡便法による計算方法は、(1)法定耐用年数の全部を経過した資産は「その法定耐用年数の20パーセントに相当する年数」、(2)法定耐用年数の一部を経過した資産は「その法定耐用年数から経過した年数を差し引いた年数に経過年数の20パーセントに相当する年数を加えた年数」となる。
 中古資産の耐用年数は、原則、法定耐用年数だが、以後の使用可能期間として合理的に見積もられる年数を使え、この見積りが困難な場合「簡便法」で計算でき、多くの場合は簡便法を選択している。

2022.5.24
相続財産譲渡での取得費加算特例 特例の適用を受けるための要件は

 相続財産を何らかの理由で手放すことは少なくないが、この時に発生した譲渡益には所得税がかかり、負担となってしまう。そこで、相続または遺贈により取得した土地、建物、株式などの財産を、一定期間内に譲渡した場合に、相続税額のうち一定金額を譲渡資産の取得費に加算できる「取得費加算の特例」がある。この特例は譲渡所得のみに適用がある特例なので、株式等の譲渡による事業所得及び雑所得については、適用できない。
 特例の適用を受ければ譲渡所得から差し引ける金額が増えることになるので、所得税の節税につながる。特例の適用を受けるための要件は、(1)相続や遺贈により財産を取得した者であること、(2)その財産を取得した人に相続税が課税されていること、(3)その財産を、相続開始のあった日の翌日から相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までに譲渡していることで、これらの要件の全てを満たす必要がある。
 取得費に加算する相続税額は、「その者の相続税額×その者の相続税の課税価格の計算の基礎とされたその譲渡した財産の価額÷(その者の相続税の課税価格+その者の債務控除額)」の算式で計算した金額。ただし、その金額がこの特例を適用しないで計算した譲渡益(土地、建物、株式などを売った金額から取得費、譲渡費用を差し引いて計算する)の金額を超える場合は、その譲渡益相当額となる。譲渡した財産ごとに計算する。

2022.5.17
土地建物を売却したときの特例 保証債務履行のためは非課税

 通常、不動産売却を行った場合は、原則として、譲渡所得税が課税される。保証人が保証履行のために土地建物などの不動産を売却した場合であっても、課税を受けることになるのだが、保証債務を履行するために土地建物などを売った場合には、所得がなかったものとする特例がある。
 保証債務の履行とは、本来の債務者が債務を弁済しないときに保証人などが肩代りをして、その債務を弁済することをいう。
 保証債務の履行に当てはまる主なものには、(1)保証人、連帯保証人として債務を弁済した場合、(2)連帯債務者として他の連帯債務者の債務を弁済した場合、(3)身元保証人として債務を弁済した場合、(4)他人の債務を担保するために、抵当権などを設定した人がその債務を弁済したり、抵当権などを実行された場合、などがある。例えば、自分が経営する会社の「保証債務」であっても、「譲渡所得税」は非課税になる。
 この特例を受けるには、(1)本来の債務者が既に債務を弁済できない状態であるときに、債務の保証をしたものでないこと、(2)保証債務を履行するために土地建物などを売っていること、(3)履行をした債務の全額又は一部の金額が、本来の債務者から回収できなくなったこと、の3要件すべてに当てはまることが必要だ。この回収できなくなったこととは、本来の債務者が債務の弁済能力がないため、将来的にも回収できない場合をいう。

2022.5.10
消費貸借契約書の印紙税の非課税 来年3月31日までに作成が対象

 国税庁はこのほど、HP上に「消費貸借契約書に係る印紙税の非課税措置」と題した記事を掲載し、特定事業者に対して行う一定の金銭の貸付けに係る消費貸借契約書のうち、2023年3月31日までに作成されるものについて、印紙税が非課税となることの周知を図っている。
 特定事業者とは、新型コロナウイルス感染症及びそのまん延防止のための措置によりその経営に影響を受けた事業者をいう。
 非課税措置の対象となる消費貸借契約書とは、特定事業者に対して、公的貸付機関等(地方公共団体、政府系金融機関等)又は金融機関(銀行、信用金庫、信用協同組合等の民間金融機関)が他の金銭の貸付けの条件に比べ特別に有利な条件で行う金銭の貸付けに際して、次の(1)から(4)までのすべての要件を満たす金銭の貸付けに関して作成される消費貸借契約書で、2023年3月31日までに作成されるものをいう。
 その要件とは、(1)金銭の貸付けを受ける者が新型コロナウイルス感染症等により経営に影響を受けた事業者であること、(2)金銭の貸付けを行う者が、公的貸付機関等、金融機関であること、(3)新型コロナウイルス感染症及びそのまん延防止のための措置によりその経営に影響を受けたことを条件として行う金銭の貸付けであること、(4)他の金銭の貸付けの条件に比し特別に有利な条件で行う金銭の貸付けであること。

2022.4.26
4月から成年年齢18歳へ引下げ 相続税や贈与税などへ与える影響

 4月1日から改正民法が施行され、成年(成人)年齢が18歳に引き下げられた。これに伴い、成年年齢の18歳への引下げは生活の面において様々な影響があるが、税務面でも少なからぬ影響がある。
 代表的なところでは、相続税の未成年者控除、贈与税申告の特例税率の適用などが、既に税制改正等で見直されている。
 相続税の未成年者控除は、相続人の中に未成年者がいる場合、成年年齢から相続日時点の未成年者の満年齢の差額に10万円を乗じた金額が相続税から控除されるので相続税においては増税となる。
 一方で、贈与税申告の特例税率の適用はメリットがある。最も一般的な暦年贈与では、20歳以上の子や孫が父母又は祖父母(直系尊属)から贈与を受けた場合には、贈与金額によっては特例税率が設けられている。例えば、暦年贈与では、110万円の基礎控除後の贈与の金額が300万円超400万円以下の場合、特例税率では15%、それ以外の一般税率では20%の課税となる。この受贈者の年齢要件が、4月以後は18歳以上となる。
 また、原則60歳以上の父母又は祖父母から、20歳以上の子又は孫に対し、財産を贈与した場合において選択できる贈与税の相続時精算課税制度の受贈者の年齢要件も18歳以上となる。そのほか、直系尊属から住宅取得等資金の贈与や、結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の非課税制度の受贈者の年齢なども同様に18歳以上となる。

2022.4.12
2022年度税制改正法が可決成立 賃上げに係る税制措置の拡充等

 2022年度税制改正法である国税の所得税法等一部改正法と地方税法等一部改正法は、ともに3月22日に開かれた参議院本会議で可決、成立した。
 主な改正をみると、国税関係では、控除率を0.7%(改正前1%)、適用対象者の所得要件を2000万円(改正前3000万円)以下にする等の見直しを行った上で、住宅ローン控除制度の適用期限を2025年末まで4年延長する。住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置は、非課税限度額を最大1000万円(改正前1500万円)に引き下げた上で2023年末まで2年延長する。
 賃上げ税制を拡充し、大企業等では継続雇用者(改正前:新規雇用者)の給与総額を一定割合以上増加させた企業に対して、雇用者全体の給与総額の対前年度増加額の最大30%(改正前:最大20%)を税額控除できる制度(2年間の時限措置)にし、中小企業では雇用者全体の給与総額を一定割合以上増加させた企業に対して、控除率を最大40%(改正前:最大25%)に引き上げた上で、適用期限を2024年3月末まで1年延長する。
 所得税及び法人税の税務調査で証拠書類を提示せずに簿外経費を主張する納税者等への対応策として、必要経費不算入・損金不算入の措置が講じられる。
 一方、地方税関係では、土地に係る固定資産税等の負担調整措置について、2022年度に限り、商業地等に係る課税標準額の上昇幅を評価額の2.5%(改正前5%)とする。

2022.4.05
所得税等の振替納付日4月21日 申告期限延長の場合は5月31日

 振替納税とは、納税者自身の名義の預貯金口座からの口座引落しにより、国税を納付する手続きだが、2021年分の所得税及び復興特別所得税の確定申告の振替納付日は、「4月21日(木)」、個人事業者の消費税及び地方消費税の確定申告の振替納付日は、「4月26日(火)」となっている。期限内に納付できなかった場合や、振替口座の残高不足等で振替納税ができなかった場合には、延滞税がかかるので注意が必要だ。
 延滞税は、法定納期限(2021年分の所得税等は3月15日、個人事業者の消費税等は3月31日)の翌日から納付する日までの期間についてかかる。この場合、金融機関や所轄の税務署の納税窓口で本税と延滞税を併せて納付することになる。
 延滞税の割合は、(1)納期限の翌日から2ヵ月を経過する日までは、年2.4%、(2)納期限の翌日から2ヵ月を経過する日の翌日以後については、年8.7%となる。
 また、今回の確定申告では、新型コロナウイルス感染症の影響やe-Taxの接続障害の発生で、個別申請によって申告・納付期限が延長(新型コロナの影響は4月15日まで、e-Taxの接続障害は未定)される。
 その場合の預金口座からの振替日は、申告所得税等(3月16日から4月15日までの申告)が「5月31日(火)」、消費税(4月1日から4月15日までの申告)が「5月26日(木)」となっている。

2022.3.29
個人住民税の公的年金控除額算定 2022年度分以後は退職手当含めず

 2022年度税制改正では、個人住民税における合計所得金額に係る規定が整備される。
 これは、2018年度税制改正で創設された公的年金等控除を合計所得金額に応じて判定する仕組みで、合計所得金額の範囲が所得税法と地方税法との違いから生じる混乱を是正する狙いがある。2018年度改正では、公的年金等収入が一定額を超える場合の控除額に上限を設定し、年金以外に特に高額な副収入がある年金受給者の控除額が引き下げられた。
 具体的には、控除額を一律10万円(公的年金等に係る雑所得以外の所得に係る合計所得金額が1000万円超2000万円以下は20万円、2000万円超は30万円)引き下げるとともに、公的年金等の収入金額が1000万円を超える場合の控除額については195万5000円の上限が設けられた。これによって、個人住民税においても、公的年金等控除の算定のため、合計所得金額を把握する必要が生じている。
 しかし、総所得金額の範囲は、所得税法上は退職所得を含むのに対し、地方税法上は分離課税の対象(源泉徴収の対象)となる退職所得は含まれないとされている。ところが、市区町村が退職所得の有無を把握するには相当の事務負担が必要との意見があった。2022年度改正では、公的年金等控除額の算定における合計所得金額には、個人住民税における他の所得控除等と同様に、退職手当等を含まない合計所得金額を用いることとされる。この改正は、2022年度分以後の個人住民税について適用される。

2022.3.22
確定申告書の差替えはお早めに! 調査前の自主的に修正申告がお得

 2021年分所得税の確定申告期限は3月15日(個別申請で4月15日まで延長可能)まで。すでに申告を済ませた方は、申告内容を再点検することも必要だ。申告して支払った税金が少ない場合は、後で修正申告して足りない税金を納めることになる。また、確定申告で税金を払いすぎていたことに気づき還付してもらうための更正の請求の期限は法定申告期限から5年間だが、早めの手続きがお勧めだ。
 申告して納めた税金が少なかった場合、申告期限の3月15日(個別申請で4月15日まで)に申告書を再提出すればいい。所得税法では、申告書が2枚以上提出された場合は、最後に提出した申告書を優先することになっている。ただし、これには「税務署の事務に支障がない限り」という要件があるので、大幅に内容が変わるようなケースでは、修正申告書を提出することにならざるを得ないこともある。
 申告期限後に足りない税金を払うことになる場合でも、税務署の調査を受ける前に納税者が自主的に修正申告すれば過少申告加算税はかからない。過少申告加算税の金額は、新たに納めることになった税金の10%相当額となる。ただし、新たに納める税金が当初の申告納税額と50万円とのいずれか多い金額を超えている場合、その超えている部分については15%になる。しかし、税務調査や税務署の指摘などがあって不足税額を払う場合は、50万円までは5%、50万円を超える部分は10%の割合を乗じた金額の過少申告加算税がかかる。

2022.3.15
国民負担率は46.5%となる見通し 租税負担率27.8%、2年ぶり低下

 財務省は、国民負担率が、2022年度予算では21年度実績見込みから1.5ポイント減の46.5%と7年ぶりに低下する見通しと発表した。国民負担率とは、国民所得に対する税金や社会保険料(年金・医療費などの保険料)の負担割合。22年度見通しの内訳は、国税17.3%、地方税10.5%で租税負担率が27.8%、社会保障負担率は18.7%。国民所得の伸びが大きく、社会保障負担などの増加を上回る見通しで、国民負担率を引き下げた。
 2021年度実績見込みに比べ、租税負担率は0.9ポイント減(国税:0.6ポイント減、地方税:0.3ポイント減)と2年ぶりに低下、社会保障負担率も0.6ポイント減と3年連続で低下した。
 真の負担率は、財政赤字という形で将来世代へ先送りしている負担額を加える必要がある。財務省によると、2022年度の国民所得(21年度に比べ20万3千円増の403万8千円の見通し)に対する財政赤字の割合は、前年度から2.4ポイント減の10.3%となる見通し。この結果、22年度の国民負担率に財政赤字を加えた「潜在的な国民負担率」は、21年度実績見込みからは3.8ポイント減の56.9%だが、過去3番目に高い見通し。
 なお、租税負担率は、戦後は40年代半ばの混乱期を除いて20%前後で推移。しかし80年台前半以降、次第に上昇し始めその後はほぼ20%台前半から半ばで推移、21年度実績見込みでは過去最高の28.7%を記録、22年度は過去3番目に高い。

2022.3.08
会社員の副業収入の税金に注意! 年間20万円超は確定申告が必要

 会社員による副業の是非については未だに賛否が分かれるところだが、少なくとも政府は副業を推進する方向で、副業を認める企業も増加傾向にある。そこで問題となってくるのは、会社員が副業としてアルバイトをした場合の税金だ。大多数の会社員は年末調整で1年間の納税の過不足を精算してもらえるので、通常確定申告は必要がないと思われる。
 しかし、副業の収入が年間20万円を超える場合は確定申告をしなければならないとされている。
 会社員は勤めている会社で年末調整が行われるが、年末調整が行われるのは1社だけで、アルバイトの給与については、年末調整は行われない。したがって、アルバイトの給与が20万円を超える場合には確定申告する必要があるわけだ。これは、アルバイトの収入だけでなく、事業収入や不動産収入、株式投資による収益など、副業をしている場合にも、年間で20万円を超える「所得」があれば、確定申告が必要になる。
 注意が必要なのは住民税だ。所得税の確定申告は副業の所得が20万円以下であれば不要だが、市区町村に収める住民税については、20万円以下は申告不要といった特例措置はなく、20万円以下の金額についても納税が必要になる。所得税の確定申告をしないのであれば、別途、居住する市区町村に住民税の申告が必要なのだ。住民税の申告は各自治体で申告方法が異なるので、自治体に問い合わせるか、自治体のウェブサイトで確認したい。

2022.3.01
4月15日まで申告期限個別延長 申告困難に限り“簡易な方法”で

 国税庁は、2021年分の確定申告期間(申告所得税:2月16日~3月15日)について、新型コロナウイルス感染症の影響により申告等が困難な人に限り、2022年4月15日までの間、“簡易な方法”により申告・納付期限の延長を申請することができるようにすると発表した。
 新型コロナウイルス感染症拡大を受けて、昨年までは2年連続で確定申告期間を全国一律で延長したが、今年は一律延長はしない。
 オミクロン株による感染の急速な拡大に伴い、感染者や自宅待機者のほか、通常の業務体制が維持できないことなどを理由に、申告が困難となる納税者が増加することが想定される。
 こうした状況を踏まえ、2021年分の申告所得税、贈与税及び個人事業者の消費税の確定申告については、2022年4月15日(金)までの間、簡易な方法により申告・納付期限を延長することができることとした。
 簡易な方法による延長とは、別途、「延長申請書」を作成して提出する必要はなく、申告書を提出する際に、その余白に「新型コロナウイルスによる申告・納付期限延長申請」といった文言を記載するか、e-Taxの利用者は所定の欄にその旨を入力するなどの方法をいう。また、申告期限及び納付期限は原則として申告書を提出した日となる。そのため、申告・納付が可能となった時点で提出するよう要請している。

2022.2.22
国外財産調書、約1.1万人が提出 提出件数増加も総財産額は減少

 近年、国外財産の保有が増加傾向にあるなか、国外財産に係る所得税や相続税の課税の適正化が喫緊の課題となっていることから、納税者本人から国外財産の保有について申告を求める仕組みとして、2012年度税制改正において国外財産調書の提出制度が創設され、2014年1月から施行された(初回の調書は2013年分)。国税庁はこのほど、国外財産調書制度創設後8年目となる2020年分の国外財産調書の提出状況を公表した。
 2020年分(2020年12月31日時点の国外財産の保有状況を記載した)国外財産調書は、昨年4月15日を期限に提出されているが(集計は2021年6月末まで)、提出件数は前年比6.4%増の1万1331件で7年連続増加、その総財産額は同▲2.6%の4兆1465億円で7年ぶりに減少した。局別では、「東京局」7216件(構成比63.7%)、「大阪局」1663件(同14.7%)、「名古屋局」815件(同7.2%)の順に多く、この都市局3局で全体の8割半ばを占めた。
 総財産額でみると、「東京局」は3兆161億円にのぼり、全体の72.7%を占め、東京・大阪(13.8%)・名古屋(5.2%)の3局で9割強を占める。
 また、財産の種類別総額では、「有価証券」が51.2%を占める2兆1225億円で最多、「預貯金」7208億円(構成比17.4%)、「建物」4523億円(同10.9%)、「貸付金」2010億円(同4.8%)、「土地」1467億円(同3.5%)のほか、「それ以外の財産」が5032億円(同12.1%)となっている。

2022.2.15
租税特別措置の適用実態調査結果 81項目で適用件数は約209万件

 2020年度の法人税関係租税特別措置の適用実態調査結果をまとめた報告書が、1月25日、2022年度の国税関係の税制改正法案である所得税法等一部改正法案とともに国会に提出されている。この報告書は、租税特別措置の適用実態を把握することにより、適用状況の透明化を図るとともに税制の適切な見直しを行うことが目的。法人税関係特別措置のうち税額又は所得の金額を減少させる規定等を適用する場合には、法人税申告書に「適用額明細書」を添付し、税務署に提出する必要がある。適用額明細書に記載された租税特別措置の適用額等を集計することで租税特別措置の適用状況が明らかとなる。
 2020年度報告書は、2020年4月1日から2021年3月31日までの間に終了した事業年度に適用を受けた法人税関係特別措置の適用実態調査結果を取りまとめた。
 2020年度に適用額明細書を提出した法人数は、136万9793法人で適用件数は法人税関係の租税特別措置81項目について延べ209万758件。
 適用件数が最も多かったのは、所得800万円以下の部分について税率を15%(本則19%)に軽減する「中小企業者等の法人税率の特例」の99万2154件で、適用額は3兆9175億円。次に多かったのが取得価額30万円未満の減価償却資産を取得した場合に300万円を限度に全額損金算入できる「中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例」の64万3069件で、適用額は3607億円だった。

2022.2.08
少額減価資産の取得価額の特例 対象資産から貸付資産を除外

 少額減価資産の取得価額の損金算入制度は多くの企業が適用する特例の一つだが、2022年度税制改正において見直される。減価償却資産は、通常、法定耐用年数に基づいて計算した減価償却費を損金算入することとなるが、使用期間が1年未満又は取得価額が10万円未満の少額の減価償却資産は、事業の用に供した年度に取得価額の全額を損金算入することができる。
 税制改正大綱には、「少額の減価償却資産の取得価額の損金算入制度について、対象資産から、取得価額が 10 万円未満の減価償却資産のうち貸付け(主要な事業として行われるものを除く)の用に供したものを除外する(所得税についても同様となる)」との見直しが明記された。改正後は、貸付けの用に供したものは、取得価額の全額を損金算入することができなくなり、通常の減価償却により損金算入することとなる。
 見直しの背景には、1単位当たり10万円未満で購入可能な工事現場などで使用される足場材料やドローン、LED照明などを大量購入し、それらの資産を貸付けの用に供することで投下資金を数年かけて回収し、実質的に課税の繰延べを図る節税対策が近年増加傾向にあることがある。
 一括償却資産の損金算入制度(減価償却資産の取得価額20万円未満)や中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例(同30万円未満)についても同様の取扱いとなる。

2022.2.01
電子帳簿保存、2年間の猶予措置 2023年末まで書面保存も認める

 本年1月から改正電子帳簿保存法が施行され、同月以降は検索要件等の保存要件を満たした上で電子取引の取引情報に係る電子データによる保存が義務付けられたが、2022年度税制改正では、その保存義務を2年間猶予する宥恕措置が設けられる。 2年間はこれまで通り書面での保存も認められる。
 具体的には、電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存制度について、2022年1月1日から2023年12月31日までの間に申告所得税及び法人税に係る保存義務者が行う電子取引について、保存要件に従って保存ができなかったやむを得ない事情があると認められるなどの場合には、その保存要件にかかわらず、電子データの保存が可能になり、その電子データの保存に代えて電子データの出力で作成した書面による保存も認められる。
 書面での保存が認められる要件には、「やむを得ない事情」に加えて、保存義務者が税務調査等の際に、質問検査権に基づく税務職員からの求めに応じ、その電子データを整然とした形式及び明瞭な状態で出力した書面の提示又は提出をすることができる場合がある。「やむを得ない事情」については、その時点までに要件に従って電子データの保存を行うための準備を整えることが困難な事情等が該当するとされている。
 また、出力書面等の保存に当たり、電子データの保存要件への対応が困難な事業者の実情に配意し、事前に税務署への申請等は必要ないとされる。

2022.1.18
企業への賃上げ促進税制の見直し 中小企業の税額控除率は最大40%

 2022年度税制改正の目玉の一つは企業の積極的な賃上げを促すための措置。今回の税制改正では、雇用者全体の給与総額の増額分を法人税額から差し引く控除率が、大企業で最大30%(現行20%)、中小企業で最大40%(同25%)に引き上げられる。
 大企業の人材確保促進税制は、前年度からの継続雇用者の給与総額で判断する。前年度から3%以上増やせば、継続雇用者給与等支給増加額の15%を法人税額から差し引く。増加割合が4%以上のときは10%上乗せし25%。さらに、教育訓練費を前年度から20%以上増やせば、税額控除率に5%加算し、この結果、大企業の控除率は最大30%となる。ただし、控除税額は当期の法人税額の20%が上限となる。
 中小企業における所得拡大促進税制は、青色申告書を提出している中小企業者等が、一定の要件を満たした上で、前年度より給与等の支給額を1.5%以上増加させた場合、その増加額の15%を法人税(個人事業主は所得税)から税額控除できる制度。中小企業は、継続雇用者だけでなく新規雇用者も含む雇用者全体の給与総額が前年度より2.5%以上の場合は、税額控除率に15%を加算し30%。さらに、教育訓練費を10%以上増やすと、控除率に10%が加算され、中小企業の控除率は最大40%となる。
 なお、教育訓練費の上乗せ措置の適用を受ける場合には、大企業と同様、教育訓練費の明細を記載した書類の保存(現行:確定申告書等への添付)が必要とされる。

2022.1.11
20年分相続税の課税割合8.8% 相続財産額は「土地」が3割強

 国税庁がこのほど公表した2020年分相続税の申告状況によると、2020年中(2020年1月1日~12月31日)に亡くなった人(被相続人)は、過去最高だった2019年(138万1093人)を▲0.6%とやや下回る137万2755人だった。
 このうち相続税の課税対象被相続人数は、同4.4%増の12万372人で、課税割合は8.8%(2019年分8.3%)だった。今回の対象は、2021年11月1日までに提出された相続税額のある申告書に基づき集計している。
 課税割合8.8%は、前年より0.5ポイント増加し、2015年の相続税の基礎控除引下げ以降では最も高く、6年連続8%台の割合となり、相続で税金がかかるのは100人に8人という状況が続いている。また、相続財産価額から被相続人の債務や葬儀費用などを差し引き、相続開始前3年以内の生前贈与等を加算した相続税の課税価格は、16兆3937億円で前年比3.9%増加し、税額は2兆915億円で同5.9%増加した。
 被相続人1人当たりでみると、課税価格が前年比▲0.5%の1億3619万円(相続税額のない申告書に係る価格は5102万円)と微減となったが、税額は1737万円で同1.4%増加した。また、相続財産額の構成比は、「土地」が34.7%と3割強を占め、「現金・預貯金等」が33.9%、「有価証券」が14.8%、退職金や生命保険などが含まれている「その他」が11.3%、「家屋」が5.3%の順となっている。