実践経営情報
2026.08.24
働き方改革関連法施行から5年 厚労省が総点検の調査結果を公表
厚生労働省はこのほど、「働き方改革関連法施行後5年の総点検」の調査結果を公表した。この調査は、働き方改革関連法の施行から5年が経過したことを受けて「総点検」を行い、今後の労働基準法制の見直しに向けた検討材料を集めることを目的としたもの。
調査では、自身の労働時間について「このままでよい」と回答した労働者が約59.5パーセントで半数以上を占めており、多くの人が仕事量やプライベートとのバランスに不満がないと考えていることがわかる。次いで「減らしたい」が約30.0パーセント、「増やしたい」が約10.5パーセントだった。労働時間を増やしたい理由は、「たくさん稼ぎたいから」が41.6パーセントと最も多く、次いで「自分のペースで仕事をしたいから」が19.7パーセント、「所定労働時間以外の労働分の収入がないと家計が厳しいから」が15.6パーセントと、収入面に関する声が目立った。
企業に対するヒアリング調査では、現状の労働時間について「現状のままがいい」と回答した企業が327社中201社に上った。その理由として、業務量とのバランスや労働者の健康確保、人材定着の観点が挙げられている。労働時間を「減らしたい」と回答した企業は73社で、人材確保や人件費抑制が主な理由だった。一方で「増やしたい」と答えた企業は53社あり、業務の性質や受注確保、労働者の希望、人手不足などが背景にあることが確認された。
2026.07.27
起業家の約4割が「29歳以下」 スモールスタート傾向が顕著に
日本政策金融公庫はこのほど、「2025年度起業と起業意識に関する調査」の結果を公表した。
これによると、起業家の40.2%、パートタイム起業家の37.7%を「29歳以下」が占めており、若年層が起業の中心を担っている実態が明らかになった。また、起業費用については、「費用はかからなかった」との回答が起業家で32.2%、パートタイム起業家で53.2%に上るなど、“スモールスタート”が主流であることも浮き彫りになっている。
起業の動機については、起業スタイルによる明確な違いが見られた。フルタイムで取り組む起業家は「自由に仕事がしたかった」(51.7%)という理由がトップだったのに対し、パートタイム起業家では「収入を増やしたかった」(54.9%)が最多。それぞれのライフスタイルや目的に合わせて、起業という選択肢が多様に活用されている様子がうかがえる。
また、前述の通り起業費用がゼロという回答が多く、「50万円未満」を含めると大半を占める。さらに、起業費用のすべてを自己資金で賄った割合も起業家で69.3%、パートタイム起業家で75.4%と高く、外部からの借り入れに頼らない傾向が見られる。
実際の採算状況についても、起業家の72.6%、パートタイム起業家の74.8%が「黒字基調」と回答しており、小規模ながらも安定した事業運営を実現していることが明らかになった。
2026.07.13
法務省 第4の遺言方式を創設へ 「保管証書遺言」の新設を提言
法務省の法制審議会はこのほど「民法(遺言関係)等の改正に関する要綱案」を取りまとめた。これは、デジタル社会の進展に対応し、民法制定以来続いてきた「紙と印鑑」中心の遺言実務を抜本的に見直すもの。審議会は、この要項の中で、遺言の新たな方式として「保管証書遺言」の新設を提言している。
「保管証書遺言」とは、パソコンやスマートフォン等を用いて作成したデジタルデータを、正式な遺言書として認める制度。従来の自筆証書遺言では全文の手書きが必須だったが、新方式ではデジタル入力が可能となる。ただし、真正性を担保するため、手続きは厳格だ。作成したデータには電子署名等を施した上で、法務局の「遺言書保管官」の面前で、遺言者がその全文を読み上げる「口述」を行わなければならない。この手続きには、ウェブ会議システム等を用いて、映像と音声により保管官と対面する方法も認められる。
また、「自筆証書遺言」についても大きな変更が加えられる。全文、日付及び氏名を自書すれば、実印等の押印がなくとも有効な遺言として扱われることとなり、無効トラブルの原因ともなっていた押印要件が廃止される。さらに、死期が迫っている「死亡危急時遺言」等においては、従来の証人による筆記に代わり、「録音及び録画を同時に行う方法」、すなわちビデオ撮影による遺言が解禁される。この場合も、ウェブ会議を通じて証人を立ち会わせることが可能となる。
2026.06.22
令和8年度税制改正 暗号資産課税の見直しが決定
政府は「貯蓄から投資へ」の流れを一層加速させ、個人が保有する金融資産を国内投資へと振り向けることで「強い経済」の実現を目指している。こうした政策方針の下、暗号資産についても、従来のような投機的な取引にとどまらず、国民の資産形成を支える金融商品の一つとして位置付け直す動きが進められてきた。この流れを受け、令和8年度税制改正では、暗号資産取引に係る税制の見直しが行われることになった。
改正の柱の一つが、課税方式と税率の変更。暗号資産の現物取引、デリバティブ取引、ならびに暗号資産関連ETF(上場投資信託)から生じる所得については、総合課税ではなく、分離課税の対象とされることになった。税率は一律20%で、内訳は所得税15%、個人住民税5%。これにより、暗号資産取引は株式等と同水準の税負担となり、投資判断における不確実性の低減が期待される。
あわせて、損失の繰越控除制度が新たに創設される。暗号資産取引によって生じた損失のうち、その年分の所得から控除しきれない金額については、翌年以後3年間にわたり、暗号資産に係る所得から控除することが可能になる。価格変動が大きい暗号資産の特性を踏まえ、長期的な投資行動を後押しする制度設計といえる。
これらの改正は、改正金融商品取引法の施行日の属する年の翌年1月1日以後に行われる暗号資産取引から適用される予定だ。
2026.06.08
消費税の輸出免税制度が改正 外国人への不動産仲介が課税対象に
消費税の輸出免税制度は、原則として「役務の提供を受ける者が非居住者であり、かつその役務が国内で消費されない場合」に適用される。近年、海外居住者が日本国内の不動産を取得・売却する事例が急増しているが、それに伴って、不動産仲介などの不動産関連サービスが非居住者向けに提供されるケースも増加している。これらの取引では、役務の提供先は非居住者であるものの、実際には国内に所在する不動産を対象とした取引であり、役務の内容や効果が国内で完結していると見ができる。
こうした状況の中、居住者が国内不動産の売買を行う場合には仲介手数料等に消費税が課される一方で、非居住者であるという理由だけで輸出免税となる取扱いについては、税負担の公平性の観点から課題がある指摘されてきた。そこで今回、非居住者が国内不動産を売買する場合の仲介手数料等について、消費税の課税対象となるよう見直される。
改正案では、非居住者に対して提供する「国内に所在する不動産に関する役務提供」について、輸出免税の対象から除外することとされた。具体的には、非居住者が日本国内の不動産を売買等する際の仲介手数料などが代表例として挙げられる。これらの役務提供は、従来は弁護士による法律相談などと同様、非居住者向けであることを理由に輸出免税の対象とされていたが、改正後は消費税の課税対象となる。
2026.05.25
所得税追徴税額1,431億円で過去最高 富裕層1件あたりの追徴額は855万円
国税庁はこのほど「令和6事務年度 所得税及び消費税調査等の状況」を公表した。これによると、所得税の調査等による追徴税額の総額は1,431億円と過去最高を記録した。実地調査と簡易な接触を合わせた所得税の調査件数は、前事務年度の60万5千件から大幅に増加、73万6千件に達している。そのうち申告漏れ等の非違があった件数は36万9千件で、実地調査1件当たりの追徴税額は前年の224万円を上回る241万円だった。個人事業者の消費税調査も、簡易な接触を幅広く活用したことで調査件数が前年比約1.5倍の18万5千件に急増し、追徴税額は421億円に上っている。
近年は資産運用の多様化・国際化が進む富裕層への対応が強化されており、富裕層に対する調査1件当たりの所得税の追徴税額は855万円と、実地調査全体の平均である299万円の約2.9倍に達した。海外投資等を行う富裕層に限定すると、1件当たりの追徴税額は1,595万円と全体の5.3倍に及び、申告漏れ所得金額の総額は837億円、追徴税額の総額は207億円となっている。また、暗号資産等取引への調査1件当たりの追徴税額は745万円で、一般平均の約2.5倍だった。
公平な納税を損なう無申告者への調査も厳格に行われており、所得税無申告者に対する追徴税額の総額は252億円、1件当たりの追徴税額は524万円と共に過去最高を更新している。消費税無申告者も、1件当たりの追徴税額は296万円と過去最高となった。
2026.05.11
令和8年度税制改正大綱が公表 貸付用不動産評価の「歪み」を正す
年末の恒例行事となっている税制改正大綱が今年も無事に策定された。今回の改正は、格差の固定化を防止し、全ての人に挑戦の機会がある社会を実現する観点から「税負担の公平性」の確保が強く打ち出されている。特に資産課税の分野では、一部の富裕層を中心に行われてきた、市場価格と評価額の「乖離」を利用した節税策が見直される。
これまで、一棟マンションなどの貸付用不動産については、収益性が高く高値で取引される市場価格と、路線価などに基づく相続税評価額との間に極めて大きな「乖離」が生じていた。このような評価の歪みは、不動産の本来の価値ではなく「他人に貸していることで所有者の自由が制限される」という税制上の仕組みを逆手に取ったものであり、租税負担の公平性を著しく損なうものとして問題視されてきた。今回の改正により、相続や贈与の前5年以内に対価を伴って取得または新築された一定の貸付用不動産については、従来の評価方法ではなく、原則として通常の取引価額(時価)によって評価されることになる。
ただし、実務上の配慮として、課税上の弊害がない限りは、取得価額を基に地価変動などを考慮して計算した金額の100分の80(80%)に相当する金額で評価できる仕組みも導入される。これにより、これまでは国税庁が個別に再評価を行っていた不透明な運用(評価通達6項)に代わり、明確な基準が設けられることで、納税者にとっての予見可能性が確保されることになる。
2026.04.27
国税庁 相続税の申告状況を公表 課税割合が10.4%に上昇
国税庁はこのほど「令和6年分相続税の申告事績の概要」を公表した。これによると、令和6年分における被相続人数は160万5387人で、前年より1.9%増加した。そのうち相続税の申告書の提出に係る被相続人数は16万6730人と、前年比で7.1%増加しており、課税割合は前年の9.9%から上昇して10.4%だった。被相続人数、課税価格の総額、および申告税額の総額はいずれも、基礎控除額の引き下げが行われた平成27年分以降で過去最高を記録。
課税価格の総額は23兆3846億円、税額の総額は3兆2446億円に達している。被相続人1人当たりの課税価格は1億4025万円、税額は1946万円だった。相続財産の構成比については、現金・預貯金等が34.9%で最も多く、次いで土地が30.2%、有価証券が17.8%という内訳。
税務行政のデジタル化も進展しており、相続税申告におけるe-Taxの利用率は前年度から13.2ポイント上昇して50.3%に達した。国税庁は令和8年度に利用率72%とする目標を掲げ、利便性向上のための施策を順次導入している。
具体的には、令和6年12月から利用者識別番号の確認手続きが簡素化されたほか、令和7年4月からは添付書類のスキャナ読取りについて、従来のカラーだけでなく白黒階調による提出も可能となる。こうした手続きの簡素化や「相続税e-Tax特設サイト」を通じた情報提供により、さらなる利用拡大を目指す方針。
2026.04.13
法人税等の不正把握が進展 国税庁、AI活用で追徴額が大幅増
国税庁はこのほど、令和6事務年度の「法人税等の調査事績」を発表した。これによると、実地調査件数は5万4千件と前年から減少した一方、追徴税額は3,407億円に達し、直近10年で最も高い水準となった。申告漏れ所得金額は8,198億円、調査1件当たりの追徴税額も6,342千円と増加しており、重点分野への調査資源の集中が数字に表れた格好だ。また、消費税還付申告法人では299億円を追徴し、海外取引に係る申告漏れ所得は2,096億円に上った。無申告法人への対応も強化され、書面照会や電話連絡による「簡易な接触」は8万5千件に拡大、265億円の追徴につながっている。
こうした動きの背景には、AIを活用したリスク抽出とデータ分析の本格運用により、調査対象の選定精度が高まったことがある。実地調査は件数こそ絞られたが、外注費の仮装計上、売上除外、架空仕入れによる不正還付など、不正の典型パターンを的確に把握した事例が目立つ。また、海外税務当局との情報交換を通じて売上除外を発見したケースや、ソフトウエア開発費をめぐる源泉徴収漏れを確認したケースなど、国際取引に起因する不正の把握も進んだ。さらに、SNSの更新状況や店舗の稼働実態など外部情報を手掛かりに、無申告法人の活動を把握した事例も示されている。
国税庁は、AIと資料情報を組み合わせた分析を一層深化させ、限られた調査資源を重点的に投入する方針を強めており、公平な課税環境の確保に向けた取り組みが加速している。
2026.03.30
事業承継の構造変化が加速 内部昇格が同族承継を上回る
帝国データバンクはこのほど、全国「後継者不在率」動向調査(2025年)の結果を公表した。 これによると、2025年の後継者不在率は50.1%と前年から2.0ポイント低下し、7年連続で改善した。官民の相談窓口が整備されたことや、さまざまな支援策の拡充が浸透し、事業承継への意識が高まったことが背景にある。
しかし、企業規模による差は依然大きく、中小企業では51.2%、小規模企業では57.3%と高水準が続く。都道府県別では三重県が33.9%で最も低く、秋田県が73.7%で唯一70%台に達した。若年層の流出や非親族承継への抵抗感が影響したとされる。
業種別では、調査開始以来初めて全業種が60%未満となり、建設業(57.3%)が最も高く、製造業(42.4%)が最も低かった。サプライチェーン維持の観点から製造業への支援が進んだことも改善要因の一つとみられる。
また、2025年の代表者交代では内部昇格(36.1%)が同族承継(32.3%)を初めて上回り、事業承継の「脱ファミリー化」が加速している。後継者候補の属性でも非同族が41.0%に達し、親族外承継が広がりつつある。
一方、地方では「店じまい」を選択するケースや承継計画を白紙に戻すケースもみられ、地域・企業による二極化が進行している。今後は承継ステージごとの支援体制強化がより重要になるだろう。
2026.03.16
「不動産小口化商品」の節税に黄信号!? 政府税調 “評価額の乖離”を問題視
11月13日、政府税制調査会の「経済社会のデジタル化への対応と納税環境整備に関する専門家会合」が開催された。この会合で国税庁が提出した資料の中で、相続税・贈与税の節税手法として広く使われている「不動産小口化商品」を利用した対策が、実勢価額と相続税評価額(財産評価基本通達に基づく評価額)の大きな乖離を生じさせる点から、明確に問題視されている。
価格差が生じる背景には、貸付用不動産に固有の評価の仕組みがある。市場価格(実勢価格)は賃貸の稼働率や将来収益が高いほど上昇する一方、相続税評価額は「借家人の支配権による利用や処分の制約」を考慮して算定されるため、賃貸割合が高いほど低く評価される。つまり、市場価値を押し上げる要因と、相続税評価額を押し下げる要因が逆方向に働くことで、両者の乖離が構造的に拡大しやすい。
資料では、3,000万円で取得した不動産小口化商品の相続税評価額がわずか480万円となったケースが紹介され、「かい離が5倍を超えるものが散見される」と明記されている。また、受贈者が贈与後に受益権を販売会社へ売却し、取得価額に近い水準で現金化された事例も提示された。
不動産小口化商品の評価について何らかの改正が実施されるかはまだ不透明だが、はじめて議論の俎上に上げられたことは確か。節税商品として広く出回っているだけに、今後の議論の行方をしっかりと見守りたい。
2026.03.02
簡易課税制度 大企業に不当な減税効果 会計検査院 財務省に制度見直しを要求
会計検査院は、令和6年度の決算検査報告の中で、消費税の簡易課税制度が大企業にも適用され、不公平な減税効果を生んでいる実態を指摘した。
簡易課税制度は本来、事務負担の重い中小事業者を対象とする特例で、基準期間の課税売上高が5000万円以下である場合に利用できる。売上に一定の「みなし仕入率」を掛けて仕入税額を計算する仕組みで、実際の仕入率より高い業種では納税額が少なくなる。この制度を利用した企業の中には、実際には大きな売上を上げながら、本則課税より納税額が大幅に少ないケースが見られた。
検査では、令和3〜4年度に簡易課税を適用しながら売上が1億円を超えていた法人4,796社を対象に調査。合併・分割を経て制度を使っていた172法人のうち141法人は、本来は基準を超えており制度を利用できないはずだった。しかし、実際の税額を試算できた116法人のうち105法人で納付税額が本則課税より少なく、差額は約22.9億円に上った。中には1億円以上の差が出ていた企業もあった。
さらに、基準期間のない243法人を別の指標で分析したところ、いずれの指標を使ってもほぼ全社で納税額が低くなり、差額は計約8.9億円に達した。重複を除くと、全体で185法人が不当に少ない税額となり、推計差額は約29億円に及んだ。
会計検査院は「中小事業者支援」という制度の趣旨を踏まえつつも、多額の売上を持つ企業への適用を放置すれば不公平が拡大しかねないとして、財務省に制度の見直しを求めた。
2026.02.16
令和6年度法人税申告事績 法人税額は18.7兆円で記録更新
国税庁はこのほど、「令和6事務年度 法人税等の申告(課税)事績の概要」を公表した。これによると、申告所得金額の総額は102兆3,381億円、申告税額の総額は18兆7,139億円となり、この両項目がいずれも過去最高を更新した。
申告所得金額は前年度(令和5年度)に比べ4兆600億円(4.1%)増加し、申告税額も1兆3,215億円(7.6%)の大幅な増加を記録した。申告所得金額及び申告税額の総額は、共に5年連続の増加となっている。また、法人税の申告件数は322万件に達し、前年度比で101.4%と増加した。黒字申告件数は117万5千件で、黒字申告割合は36.5%となり、前年度から0.5ポイント上昇した。一方、令和6事務年度における源泉所得税等の税額は20兆3,455億円となった。これは前事務年度に比べ9,907億円(4.6%)の減少である。主な減少要因としては、給与所得の税額が6,308億円(4.9%)減少したほか、配当所得の税額が1兆2,559億円(27.9%)と大きく減少したことが挙げられる。その反面、特定口座内保管上場株式等の譲渡所得等の税額は5,985億円(172.4%)の大幅な増加を見せた。
税務行政のデジタル化も進展しており、令和6年度の法人税申告におけるe-Tax利用率は89.1%。財務諸表などの添付書類を含む「ALL e-Tax」の利用率は67.7%。国税庁は、令和8年度末までに国税全体のキャッシュレス納付割合を54%とする目標を設定し、特に源泉所得税のキャッシュレス納付の利用拡大に向けた取り組みを推進している。
2026.02.02
国税手続のデジタル化が加速 「ALL e-Tax」の利用率は67.7%
国税庁は、令和6年度におけるe-Tax(国税電子申告・納税システム)およびキャッシュレス納付の利用状況を公表した。これによると、法人税申告のオンライン利用率は89.1%(前年度比+2.9ポイント)に達し、所得税申告74.1%(同+4.8ポイント)、相続税申告50.3%(同+13.2ポイント)など、個人分野を含めたデジタル申告が定着していることがわかる。また、法人税申告のうち添付書類まで電子化された「ALL e-Tax」は67.7%(同+3.9ポイント)と着実に増加し、国税庁は令和8年度末までに72%への引き上げを目標としている。
納税手段でもキャッシュレス化が進展した。令和6年度のキャッシュレス納付割合は45.3%と、前年度の39.0%から6.3ポイント上昇。特にスマホアプリやクレジットカードを用いた納付が拡大し、ダイレクト納付やインターネットバンキング等を合わせた電子納税が主流となりつつある。一方で、金融機関や税務署窓口での現金納付は減少傾向が続いている。
国税庁は今後も、納税者利便と行政効率化を両立するため、e-Taxの機能拡充を進める。令和7年度以降は、マイナンバーカード機能をスマートフォン(Android・iPhone)に搭載してカードをかざさずにログインや送信を可能にするほか、「マイページ」での過去申告情報の閲覧、添付書類のJPEG対応、送信容量の大幅拡大などを順次導入する方針。
2026.01.19
「中小M&Aアドバイザー試験」創設へ 中企庁が資格制度の具体化を議論
中小M&A市場はここ数年で急速に拡大し、事業承継・引継ぎ支援センターや民間仲介機関を通じた成約件数が増加している一方で、支援機関やアドバイザーの質にばらつきがあり、不適切な案件も散見される。こうした現状を受け、同庁は市場の健全化と支援の質向上を目的に、個人アドバイザーの知識と倫理を担保する新たな資格制度の導入を検討している。
制度案によると、「中小M&Aアドバイザー試験(仮称)」は、M&A実務、財務・税務、バリュエーション、デューデリジェンス、法務、倫理・行動規範などをカバーし、選択式・短答式で50問程度を想定。合格者には倫理規程遵守の誓約と、3〜5年ごとの講習受講を義務付け、登録者名簿に氏名を公表する。違反が認められた場合は登録取消や公表を行う仕組みを想定している。
資格制度の運営体制については、「中小M&A市場の改革に向けた検討会」を中核に、実務家や学識者からなるワーキンググループ(WG)を設置。試験科目や難易度、免除要件などの詳細を詰める。制度開始後は、資格者の登録・管理をM&A支援機関登録制度と連携させ、倫理違反やガイドライン逸脱行為に対しては段階的な処分(注意・取消)を行う方向で検討されている。
同庁はこの制度を「質の高いアドバイザーの可視化」と「倫理的な市場形成」のための基盤と位置付けており、登録支援機関ごとの資格保有率も公表していく見通しだ。
2026.01.05
RESAS:リーサスがアップデート 中小企業の経営分析機能を強化
厚経済産業省と内閣官房が提供する「地域経済分析システム(RESAS:リーサス)」がアップデートされた。リーサスは、政府や民間が保有するビッグデータを集約し、地域の産業構造や人口動態、観光、消費、雇用などを地図やグラフ上で「見える化」できる無料の分析システムだ。2015年の提供開始以来、地方自治体の政策立案や企業の立地・投資戦略の検討など、幅広い分野で活用が進んできた。データの信頼性と視覚的なわかりやすさを兼ね備え、誰でも手軽に地域経済の現状を把握できる点が評価されている。
今回の改良は「デジタル田園都市国家構想総合戦略」および「地方創生2.0基本構想」に基づくもので、中小企業の経営環境分析をより高度化する新機能が追加された。具体的には、中小企業の経営実態に焦点を当てた「中小企業経営分析」メニューが新たに追加されている。中小企業実態基本調査をもとに、業種ごとの従業者数や資産・負債、売上高、費用、設備投資、海外展開などを単年・時系列で確認できるようになったほか、「経営環境分析」機能では、付加価値額の推移や主要財務データがグラフ表示されるようになった。これにより、利用者は自社や地域の業界構造をより多面的に把握し、経営課題の特定や将来の投資判断にデータを活用できる。自治体、支援機関、企業のいずれにとっても、地域経済と企業経営をつなぐ分析基盤としての存在感が一段と高まっている。
