実践経営情報

2026.04.27
国税庁 相続税の申告状況を公表 課税割合が10.4%に上昇

 国税庁はこのほど「令和6年分相続税の申告事績の概要」を公表した。これによると、令和6年分における被相続人数は160万5387人で、前年より1.9%増加した。そのうち相続税の申告書の提出に係る被相続人数は16万6730人と、前年比で7.1%増加しており、課税割合は前年の9.9%から上昇して10.4%だった。被相続人数、課税価格の総額、および申告税額の総額はいずれも、基礎控除額の引き下げが行われた平成27年分以降で過去最高を記録。
 課税価格の総額は23兆3846億円、税額の総額は3兆2446億円に達している。被相続人1人当たりの課税価格は1億4025万円、税額は1946万円だった。相続財産の構成比については、現金・預貯金等が34.9%で最も多く、次いで土地が30.2%、有価証券が17.8%という内訳。
 税務行政のデジタル化も進展しており、相続税申告におけるe-Taxの利用率は前年度から13.2ポイント上昇して50.3%に達した。国税庁は令和8年度に利用率72%とする目標を掲げ、利便性向上のための施策を順次導入している。
 具体的には、令和6年12月から利用者識別番号の確認手続きが簡素化されたほか、令和7年4月からは添付書類のスキャナ読取りについて、従来のカラーだけでなく白黒階調による提出も可能となる。こうした手続きの簡素化や「相続税e-Tax特設サイト」を通じた情報提供により、さらなる利用拡大を目指す方針。

2026.04.13
法人税等の不正把握が進展 国税庁、AI活用で追徴額が大幅増

 国税庁はこのほど、令和6事務年度の「法人税等の調査事績」を発表した。これによると、実地調査件数は5万4千件と前年から減少した一方、追徴税額は3,407億円に達し、直近10年で最も高い水準となった。申告漏れ所得金額は8,198億円、調査1件当たりの追徴税額も6,342千円と増加しており、重点分野への調査資源の集中が数字に表れた格好だ。また、消費税還付申告法人では299億円を追徴し、海外取引に係る申告漏れ所得は2,096億円に上った。無申告法人への対応も強化され、書面照会や電話連絡による「簡易な接触」は8万5千件に拡大、265億円の追徴につながっている。
 こうした動きの背景には、AIを活用したリスク抽出とデータ分析の本格運用により、調査対象の選定精度が高まったことがある。実地調査は件数こそ絞られたが、外注費の仮装計上、売上除外、架空仕入れによる不正還付など、不正の典型パターンを的確に把握した事例が目立つ。また、海外税務当局との情報交換を通じて売上除外を発見したケースや、ソフトウエア開発費をめぐる源泉徴収漏れを確認したケースなど、国際取引に起因する不正の把握も進んだ。さらに、SNSの更新状況や店舗の稼働実態など外部情報を手掛かりに、無申告法人の活動を把握した事例も示されている。
 国税庁は、AIと資料情報を組み合わせた分析を一層深化させ、限られた調査資源を重点的に投入する方針を強めており、公平な課税環境の確保に向けた取り組みが加速している。

2026.03.30
事業承継の構造変化が加速 内部昇格が同族承継を上回る

 帝国データバンクはこのほど、全国「後継者不在率」動向調査(2025年)の結果を公表した。 これによると、2025年の後継者不在率は50.1%と前年から2.0ポイント低下し、7年連続で改善した。官民の相談窓口が整備されたことや、さまざまな支援策の拡充が浸透し、事業承継への意識が高まったことが背景にある。
 しかし、企業規模による差は依然大きく、中小企業では51.2%、小規模企業では57.3%と高水準が続く。都道府県別では三重県が33.9%で最も低く、秋田県が73.7%で唯一70%台に達した。若年層の流出や非親族承継への抵抗感が影響したとされる。
 業種別では、調査開始以来初めて全業種が60%未満となり、建設業(57.3%)が最も高く、製造業(42.4%)が最も低かった。サプライチェーン維持の観点から製造業への支援が進んだことも改善要因の一つとみられる。
 また、2025年の代表者交代では内部昇格(36.1%)が同族承継(32.3%)を初めて上回り、事業承継の「脱ファミリー化」が加速している。後継者候補の属性でも非同族が41.0%に達し、親族外承継が広がりつつある。
 一方、地方では「店じまい」を選択するケースや承継計画を白紙に戻すケースもみられ、地域・企業による二極化が進行している。今後は承継ステージごとの支援体制強化がより重要になるだろう。

2026.03.16
「不動産小口化商品」の節税に黄信号!? 政府税調 “評価額の乖離”を問題視

 11月13日、政府税制調査会の「経済社会のデジタル化への対応と納税環境整備に関する専門家会合」が開催された。この会合で国税庁が提出した資料の中で、相続税・贈与税の節税手法として広く使われている「不動産小口化商品」を利用した対策が、実勢価額と相続税評価額(財産評価基本通達に基づく評価額)の大きな乖離を生じさせる点から、明確に問題視されている。
 価格差が生じる背景には、貸付用不動産に固有の評価の仕組みがある。市場価格(実勢価格)は賃貸の稼働率や将来収益が高いほど上昇する一方、相続税評価額は「借家人の支配権による利用や処分の制約」を考慮して算定されるため、賃貸割合が高いほど低く評価される。つまり、市場価値を押し上げる要因と、相続税評価額を押し下げる要因が逆方向に働くことで、両者の乖離が構造的に拡大しやすい。
 資料では、3,000万円で取得した不動産小口化商品の相続税評価額がわずか480万円となったケースが紹介され、「かい離が5倍を超えるものが散見される」と明記されている。また、受贈者が贈与後に受益権を販売会社へ売却し、取得価額に近い水準で現金化された事例も提示された。
 不動産小口化商品の評価について何らかの改正が実施されるかはまだ不透明だが、はじめて議論の俎上に上げられたことは確か。節税商品として広く出回っているだけに、今後の議論の行方をしっかりと見守りたい。

2026.03.02
簡易課税制度 大企業に不当な減税効果 会計検査院 財務省に制度見直しを要求

 会計検査院は、令和6年度の決算検査報告の中で、消費税の簡易課税制度が大企業にも適用され、不公平な減税効果を生んでいる実態を指摘した。
 簡易課税制度は本来、事務負担の重い中小事業者を対象とする特例で、基準期間の課税売上高が5000万円以下である場合に利用できる。売上に一定の「みなし仕入率」を掛けて仕入税額を計算する仕組みで、実際の仕入率より高い業種では納税額が少なくなる。この制度を利用した企業の中には、実際には大きな売上を上げながら、本則課税より納税額が大幅に少ないケースが見られた。
 検査では、令和3〜4年度に簡易課税を適用しながら売上が1億円を超えていた法人4,796社を対象に調査。合併・分割を経て制度を使っていた172法人のうち141法人は、本来は基準を超えており制度を利用できないはずだった。しかし、実際の税額を試算できた116法人のうち105法人で納付税額が本則課税より少なく、差額は約22.9億円に上った。中には1億円以上の差が出ていた企業もあった。
 さらに、基準期間のない243法人を別の指標で分析したところ、いずれの指標を使ってもほぼ全社で納税額が低くなり、差額は計約8.9億円に達した。重複を除くと、全体で185法人が不当に少ない税額となり、推計差額は約29億円に及んだ。
 会計検査院は「中小事業者支援」という制度の趣旨を踏まえつつも、多額の売上を持つ企業への適用を放置すれば不公平が拡大しかねないとして、財務省に制度の見直しを求めた。

2026.02.16
令和6年度法人税申告事績 法人税額は18.7兆円で記録更新

 国税庁はこのほど、「令和6事務年度 法人税等の申告(課税)事績の概要」を公表した。これによると、申告所得金額の総額は102兆3,381億円、申告税額の総額は18兆7,139億円となり、この両項目がいずれも過去最高を更新した。
 申告所得金額は前年度(令和5年度)に比べ4兆600億円(4.1%)増加し、申告税額も1兆3,215億円(7.6%)の大幅な増加を記録した。申告所得金額及び申告税額の総額は、共に5年連続の増加となっている。また、法人税の申告件数は322万件に達し、前年度比で101.4%と増加した。黒字申告件数は117万5千件で、黒字申告割合は36.5%となり、前年度から0.5ポイント上昇した。一方、令和6事務年度における源泉所得税等の税額は20兆3,455億円となった。これは前事務年度に比べ9,907億円(4.6%)の減少である。主な減少要因としては、給与所得の税額が6,308億円(4.9%)減少したほか、配当所得の税額が1兆2,559億円(27.9%)と大きく減少したことが挙げられる。その反面、特定口座内保管上場株式等の譲渡所得等の税額は5,985億円(172.4%)の大幅な増加を見せた。
 税務行政のデジタル化も進展しており、令和6年度の法人税申告におけるe-Tax利用率は89.1%。財務諸表などの添付書類を含む「ALL e-Tax」の利用率は67.7%。国税庁は、令和8年度末までに国税全体のキャッシュレス納付割合を54%とする目標を設定し、特に源泉所得税のキャッシュレス納付の利用拡大に向けた取り組みを推進している。

2026.02.02
国税手続のデジタル化が加速 「ALL e-Tax」の利用率は67.7%

 国税庁は、令和6年度におけるe-Tax(国税電子申告・納税システム)およびキャッシュレス納付の利用状況を公表した。これによると、法人税申告のオンライン利用率は89.1%(前年度比+2.9ポイント)に達し、所得税申告74.1%(同+4.8ポイント)、相続税申告50.3%(同+13.2ポイント)など、個人分野を含めたデジタル申告が定着していることがわかる。また、法人税申告のうち添付書類まで電子化された「ALL e-Tax」は67.7%(同+3.9ポイント)と着実に増加し、国税庁は令和8年度末までに72%への引き上げを目標としている。
 納税手段でもキャッシュレス化が進展した。令和6年度のキャッシュレス納付割合は45.3%と、前年度の39.0%から6.3ポイント上昇。特にスマホアプリやクレジットカードを用いた納付が拡大し、ダイレクト納付やインターネットバンキング等を合わせた電子納税が主流となりつつある。一方で、金融機関や税務署窓口での現金納付は減少傾向が続いている。
 国税庁は今後も、納税者利便と行政効率化を両立するため、e-Taxの機能拡充を進める。令和7年度以降は、マイナンバーカード機能をスマートフォン(Android・iPhone)に搭載してカードをかざさずにログインや送信を可能にするほか、「マイページ」での過去申告情報の閲覧、添付書類のJPEG対応、送信容量の大幅拡大などを順次導入する方針。

2026.01.19
「中小M&Aアドバイザー試験」創設へ 中企庁が資格制度の具体化を議論

 中小M&A市場はここ数年で急速に拡大し、事業承継・引継ぎ支援センターや民間仲介機関を通じた成約件数が増加している一方で、支援機関やアドバイザーの質にばらつきがあり、不適切な案件も散見される。こうした現状を受け、同庁は市場の健全化と支援の質向上を目的に、個人アドバイザーの知識と倫理を担保する新たな資格制度の導入を検討している。
 制度案によると、「中小M&Aアドバイザー試験(仮称)」は、M&A実務、財務・税務、バリュエーション、デューデリジェンス、法務、倫理・行動規範などをカバーし、選択式・短答式で50問程度を想定。合格者には倫理規程遵守の誓約と、3〜5年ごとの講習受講を義務付け、登録者名簿に氏名を公表する。違反が認められた場合は登録取消や公表を行う仕組みを想定している。
 資格制度の運営体制については、「中小M&A市場の改革に向けた検討会」を中核に、実務家や学識者からなるワーキンググループ(WG)を設置。試験科目や難易度、免除要件などの詳細を詰める。制度開始後は、資格者の登録・管理をM&A支援機関登録制度と連携させ、倫理違反やガイドライン逸脱行為に対しては段階的な処分(注意・取消)を行う方向で検討されている。
 同庁はこの制度を「質の高いアドバイザーの可視化」と「倫理的な市場形成」のための基盤と位置付けており、登録支援機関ごとの資格保有率も公表していく見通しだ。

2026.01.05
RESAS:リーサスがアップデート 中小企業の経営分析機能を強化

 厚経済産業省と内閣官房が提供する「地域経済分析システム(RESAS:リーサス)」がアップデートされた。リーサスは、政府や民間が保有するビッグデータを集約し、地域の産業構造や人口動態、観光、消費、雇用などを地図やグラフ上で「見える化」できる無料の分析システムだ。2015年の提供開始以来、地方自治体の政策立案や企業の立地・投資戦略の検討など、幅広い分野で活用が進んできた。データの信頼性と視覚的なわかりやすさを兼ね備え、誰でも手軽に地域経済の現状を把握できる点が評価されている。
 今回の改良は「デジタル田園都市国家構想総合戦略」および「地方創生2.0基本構想」に基づくもので、中小企業の経営環境分析をより高度化する新機能が追加された。具体的には、中小企業の経営実態に焦点を当てた「中小企業経営分析」メニューが新たに追加されている。中小企業実態基本調査をもとに、業種ごとの従業者数や資産・負債、売上高、費用、設備投資、海外展開などを単年・時系列で確認できるようになったほか、「経営環境分析」機能では、付加価値額の推移や主要財務データがグラフ表示されるようになった。これにより、利用者は自社や地域の業界構造をより多面的に把握し、経営課題の特定や将来の投資判断にデータを活用できる。自治体、支援機関、企業のいずれにとっても、地域経済と企業経営をつなぐ分析基盤としての存在感が一段と高まっている。