当社は3月決算の法人で業績も順調に推移しています。今期末の3月31日に、契約期間が本年6月1日から翌年5月31日の家賃1年分を一括で支払う予定としていますが、今期の損金に認められるでしょうか?
支払った日から1年以内分の家賃は、支払った時点で損金に算入することは認められていますが、家賃の契約期間が1年であっても、その終期が1年を超えておりますので、この場合、支払った時(今期)の損金とはなりません。
前払費用は、その事業年度の損金の額に算入されないのが原則ですが、会社が前払費用を支払った日から1年以内に提供を受ける役務に係るものを支払った場合で、その支払った額に相当する金額を継続して、その支払った日の属する事業年度で損金の額に算入しているときは認められます。したがって、この質問の場合は、3月31日に翌期の6月1日の属する事業年度の損金となるべきものの支払いのため、前払家賃として資産に計上しなければなりません。
決算にあたって、購入した事務用消耗品および広告用の印刷物等のうち、事業年度末日まで未使用のものについては、どのような場合でも貯蔵品として棚卸資産を計上しなければならないのでしょうか?
お尋ねの事務用消耗品および広告用の印刷物等の取得に要した費用は、これを消費した日の属する事業年度で損金に算入するのが原則です。
ただし、会社がこれらの棚卸資産( 事業年度ごとにおおむね一定の数量を取得し、かつ経常的に消費されるものに限る )の取得に要した費用を継続して、その取得した日の属する事業年度の損金に算入している場合は認められます。
当社は不動産業界の団体に加入しています。加入した団体から要請されて会費を納入していますが、この会費の取扱いについて教えてください。
同業種団体に支払う会費についての取扱いは、次のとおり示されています。

(1)通常会費

通常会費とは同業種団体等が、その構成員のために行なう広報活動、調査研究、研修指導、福利厚生、その他同業種団体として通常の業務運営のために経常的に要する費用の分担額として支出する費用をいいます。

  1. 支出した日の属する事業年度の損金に加算されます。ただし、同業種団体等において、その受入れた通常会費、不当に多額の余剰金が生じているとみとめられた場合には、当該余剰金が生じた時以後に支出する通常会費については、当該余剰金が適正な額になるまでは、前払い費用として、損金の額に算入されません。

(2)その他の会費

その他会費とは同業種団体が次にあげるような目的のために支出する費用の分担額として支出する費用をいいます。支出したときは前払費用とし、当該同業種団体がこれらの支出した日にその費途に応じて会費を負担した貴社が支出したものとされます。例えば、3月決算の法人が秋に行なう同業種団体の懇親会の費用を3月末に支出したとすると、その期は前払費用とし、翌期において交際費に振替る処理をすることになります。その他会費に該当する場合の、貴社の経理処理の取扱いは次のとおりです。

  1. 会館、その他特別な施設の取得または改良 → 繰延資産
  2. 会員相互の共済 → 福利厚生費
  3. 会員相互または業界の関与先等との懇親等 → 交際費等
  4. 政治献金、その他寄付 → 寄附金
当社は9月決算ですが、固定資産税の第3期および第4期分(12月、翌年2月が納付期限)について、決算時に未払費用として計上できますか?
未払い計上することができます。
賦課課税方式による固定資産税等については、賦課決定のあった日の属する事業年度の損金に算入されます。ただし、法人がその納付すべき税額について、その納期の開始日( 納期が分割して定められているものについては、それぞれの納期の開始の日 )、あるいは実際に納付した日の属する事業年度において損金経理をした場合には、その事業年度の損金とされます。
空き地に砂利および砕石を敷いて、駐車場として利用したいと考えています。その敷設費用は経費として処理できるのでしょうか?
土地の表面に砂利、砕石などを敷設するために要した金額は、資本的支出となり、経費処理できません。
したがって、「構造物」の「舗装路面」の「石敷のもの」( 耐用年数15年 )により減価償却する必要があります。なお、現に使用している土地の水はけをよくするために行なう場合は、修繕費として損金に算入することが認められています。
不動産会社の取締役をしていますが、友人から不動産取引に関する情報の提供をうけ、この情報がきっかけとなり、不動産を売買することができました。情報提供者の友人に謝礼として手数料を支払った場合の取扱いについて教えてください。
会社が取引に関する情報の提供を生業としていない者に対して、情報提供等の対価として金銭等を交付した費用は、原則として交際費等になります。ただし、次の要件すべてを満たしている場合には、交際費等に該当しないものとして扱われます。
  1. その金銭等の交付があらかじめ締結された契約に基づくものであること。
  2. 提供を受ける役務の内容が契約によって明らかにされていること。
  3. 契約によって実際に役務の提供をうけていること。
  4. 交付した金額等の額がその提供を受けた役務の内容に照らして相当と認められること。
  5. 支払を受ける者が、その取引に係る相手方の従業員でないこと。

したがって、上記の要件を満たしていない者に対する情報提供料や謝礼金は交際費等になります。

当社ではマンションの建設を予定しています。マンションの建設にあたり、近隣の方が受ける日照妨害・風害・電波障害などによる損害を保証するために金銭を交付することになりました。これらの補修費用の取扱いはどうなりますか?
ビルやマンションの建設に伴って支出する住民対策費、公害補償費などの費用の中で開発負担金に該当し繰延資産となるものを除いては減価償却資産の取得になりますので、この場合の補償のために支出する金額は、マンションの取得価額に算入することになります。
なお、マンションの建設にあたって、近隣の方の同意を得るために支出する対策費用的なものは、交際費等に該当しますが、近隣の方が被る損害を補償するための金額については、損害賠償の性格を有するので、交際費等には該当しません。
賃貸物件の情報を載せる会社のホームページを制作したいと考えています。制作費用は広告宣伝費として処理すればよいのでしょうか?
広告宣伝費として必要経費になります。
ただし、賃貸物件の情報等を載せるためにデーターベースやネットワーク等の高度な機能を付加するといったシステム開発やプログラミング等の費用が発生する場合は、ホームページ制作費とソフトウェアの制作費用と区分して処理します。ソフトウェア費用は無形固定資産として計上し耐用年数に応じて減価償却します。
当社の取引先A社は、1年前に不渡りが発生し、事実上倒産しました。調査したところ、会社はもぬけのからで、社長は行方不明の状況です。当社の売掛金1000万円は全額回収できない見込みです。5月決算の当期において貸倒処理をしたいのですが、認められますか?
事実上倒産し、債権者が行方不明のような状況で、売掛金が全額回収できないことが明らかであれば、当期に損金経理することが認められます。
なお、法人税の取扱いでは「法人の有する金銭債権で、その債権者の資産状況・支払能力から見て、全額回収できないことが明らかになった場合には、その事業年度で貸倒れとして損金経理をすることができる。ただし、その債権に担保物がある場合は、それを処分した後でなければ、貸倒れとして損金経理はできない」とされています。
借上住宅を当社の社員に貸与していますが、当社が支払う家賃の50%に相当する額が現物報酬の金額になるのですか。それとも100%ですか。徴収すべき家賃の額は、いずれでしょうか?
社員から徴収する賃貸料の額が、通常の賃貸料の額の50%相当額以上であれば、経済的利益はないものとされるので、その分の源泉徴収はしなくて構いません。
この度、パートタイマーを採用しました。支払う賃金について所得税の課税関係が生ずると思われますが、具体的にどのように取り扱ったらいいでしょうか?
パートタイマーやアルバイトなどを雇用し、それらの者に支払った賃金も源泉徴収の対象となります。この場合は、次のとおり源泉徴収税額を計算することになります。

1 ) あらかじめ定められた雇用期間が2ヶ月以内で、働いた日や時間によって計算して支払う賃金については「給与所得の源泉徴収税額表」の日額表丙欄を適用して税額を計算します。

2 ) (1)に該当していたが、雇用期間を延長し、同一の雇用主のもとに継続して2ヶ月を超えても雇われているときは次のとおりです。

  • ①その者から「扶養控除等の申請書」が提出されたとき。
    月ごと支払……月額表の甲欄を適用して税額を計算します。
  • ②①の申告書の提出がないとき。
    月ごと支払……月額表の乙欄を適用して税額を計算します。
当社の商品を販売する外交員に対しての報酬として固定給と歩合給および販売活動に係る旅費(実費)を支払っていますが、外交員報酬として源泉徴収すべきでしょうか?
外交員に支払われる報酬については、その区分に応じて次のとおり取扱われます。
    1. その報酬が、職務を行うための旅費と、それ以外の部分とが明らかに区分されている場合。
      → 旅費は非課税、それ以外は給与所得
    2. 1.以外の場合で、その報酬が固定給とそれ以外の部分とに明らかに区分されている場合。
      → 固定給は給与所得、それ以外は外交員報酬
    3. 1.および2.以外の場合。
      役務を提供するための旅費等の多寡、その他の事情を総合勘案して、給与か外交員報酬かを判断する。