当社は洗浄用の機械を製造していますが、機械設備については一括して減価償却を行っており、設備を構成する個々の機械について償却費の配賦計算をしていません。この度、設備の一部の機械について取替え更新しました。除却した機械の帳簿価額(除却価額)はどのように計算すればいいですか?
総合償却資産の一部について除却等をする場合は、次の2つの方法によることが認められていますが、総合耐用年数に基づく未償却残額除却法が原則とされています。
  1. 未償却残額除却法
    その除却等をした個々の資産について、その耐用年数と経過年数を基に未償却残額を算出し、これを除却価額とします。この場合の耐用年数については、個別耐用年数を使用する方法と総合耐用年数を使用する方法があります。
  2. 配賦簿価除却法
    毎期の償却額を個々の資産に合理的に配賦し、その配賦したところに基づく資産の帳簿価額を除却価額とする方法です。この場合の合理的基準による配賦方法としては、個別耐用年数を基礎として計算した償却限度額の比によって配賦する方法が認められます。なお、総合償却資産についても備忘価額1円まで償却することができます。
用紙等の事業用消耗品およびダンボール等の包装材料は、今後とも継続的に使用していくものであることから、購入量による割引販売を利用して2年分くらいの量を購入することにしました。消耗品費として当期の費用になるでしょうか?
消耗品等は取得したときではなく、消費した日の属する事業年度で損金に算入するのが原則です。
したがって、多量に購入した場合で、期末に未使用のものは貯蔵品として棚卸資産に計上する必要があり、購入時に費用とすることはできません。 ただし、事務用消耗品、作業用消耗品、包装材料、広告宣伝用印刷物、見本、その他これに準ずる棚卸資産(各事業年度ごとにおおむね一定数量を取得し、かつ、経常的に消費するものに限る)の取得額を継続して取得した日の属する事業年度の損金に算入しているときは費用として処理することが認められます。
減価償却費の損金算入の要件に「償却費として損金経理」をすることとありますが、必ず「償却費」の科目で損金経理しなければならないのでしょうか?
減価償却資産の償却費の損金算入については、「償却費として損金経理」をすることがその要件とされています。これは、簿外資産などについて償却を認めない趣旨と思われます。
なお、次のような金額が償却費として損金経理した金額に含めることとされています。

  1. 取得価額に算入すべき付随費用で、原価外処理をしたものの金額
  2. 各種の圧縮記帳により減額した金額のうち圧縮限度額を超える部分の金額
  3. 修繕費として経理した金額のうち資本的支出に該当する部分の金額
  4. 無償または低価で取得した減価償却資産について取得価額が時価に満たない場合の差額
  5. 減価償却資産につき、計上した除却損または評価損の金額のうち、損金算入が認められない部分の金額(評価損の金額には、減損損失の金額も含まれる)
  6. 少額資産(おおむね60万円以下)または耐用年数が3年以下の資産の取得価額を消耗品などの名目で経理した場合のその金額
  7. ソフトウェアの取得価額に算入すべき金額を研究開発費として損金経理をした場合のその金額

また、減価償却資産の取得価額の全部または一部を資産に計上しないで、損金経理した場合や、贈与により取得した減価償却資産を計上しなかった場合でも、法人が自ら確定申告等(更正、決定を予知しての提出は除く)に添付する償却の明細書(申告書別表16)において、申告調整しているときは、その計算が認められます。 前期以前から繰り越された償却超過額は、当期において償却費として損金経理をした金額に含めることとされています。したがって、当期に償却費として損金経理をした金額が償却限度額に満たない場合は、その差額分だけ、繰越償却超過額を申告調整により減算できることになります。

プラスチックの成型加工業をしている会社です。使用している射出成型機の耐用年数が経過しましたが、いまだ十分使用できるため、この射出成型機を修理して使用したいと考えています。この場合、使用可能期間が延びることになりますので、資本的支出として射出成型機の取得価額に含めなければいけないのでしょうか?
耐用年数を経過した射出成型機を修理した場合、使用可能期間を延長させたものとして一律的に判断するのではなく、この射出成型機について資本的支出となるか、修繕費となるかは以下の条件によって、判定します。
    1. 修理・改良のために支出した金額が60万円に満たない場合は修繕費とする。
    2. おおむね3年以内の期間を終期として行なう場合は修繕費とする。
    3. 前期末の取得価格のおおむね10%以下の場合は修繕費とする。
    4. 1. 2. 3.に該当しない場合は、実質的に判定して修繕費か資本的支出かを判断する。
国連難民高等弁務官日本・韓国地域事業所長あてに寄付をしましたが、この寄付金は、特定公益増進法人等に対する寄付金の特例が受けられますか?
お尋ねの国連難民高等弁務官に係る寄付は特定公益増進法人等に対する寄付金とはなりませんので、一般の寄付金として取扱われることになります。
なお、特定公益増進法人等に対する寄付金の特例としてみとめられるのは、理化学研究所・日本育英会・日本私立学校振興共済事業団・日本赤十字社・社会福祉法人などの特別に決められた法人です。
会社のホームページを制作したいと考えています。制作費用は広告宣伝費として処理すればよいのでしょうか?
広告宣伝費として必要経費になります。
ただし、データーベースやネットワーク等の高度な機能を付加するといったシステム開発やプログラミング等の費用の場合、ホームページとソフトウェアの制作費用と区分して処理します。ソフトウェア費用は無形固定資産として計上し耐用年数に応じて減価償却します。
当社の取引先A社は、1年前に不渡りが発生し、事実上倒産しました。調査したところ、会社はもぬけのからで、社長は行方不明の状況です。当社の売掛金1000万円は全額回収できない見込みです。5月決算の当期において貸倒処理をしたいのですが、認められますか?
事実上倒産し、債権者が行方不明のような状況で、売掛金が全額回収できないことが明らかであれば、当期に損金経理することが認められます。
なお、法人税の取扱いでは「法人の有する金銭債権で、その債権者の資産状況・支払能力から見て、全額回収できないことが明らかになった場合には、その事業年度で貸倒れとして損金経理をすることができる。ただし、その債権に担保物がある場合は、それを処分した後でなければ、貸倒れとして損金経理はできない」とされています。
当社の取引先B社が業績の悪化により2月に倒産し、代表者は行方不明となりました。B社および代表者には資産がなく、B社に対する売掛金の全額が回収不能であることは明らかです。当社は、当期に多額な赤字が見込まれるので、貸倒損失の計上を翌期以降にしたいのですが、認められますか?
この場合は、当期に貸倒損失を計上しなければなりません。
貸倒れとして処理すべき時期については、売掛金の全額が回収できないことが明らかになった事業年度において損金経理することになります。
この度、臨時のパートタイマーとアルバイトを採用しました。支払う賃金について所得税の課税関係が生ずると思われますが、具体的にどのように取り扱ったらいいでしょうか?
パートタイマーやアルバイトなどを雇用し、それらの者に支払った賃金も源泉徴収の対象となります。この場合は、次のとおり源泉徴収税額を計算することになります。
  1. あらかじめ定められた雇用期間が2ヶ月以内で、働いた日や時間によって計算して支払う賃金については「給与所得の源泉徴収税額表」の日額表丙欄を適用して税額を計算します。
  2. 1.に該当していたが、雇用期間を延長し、同一の雇用主のもとに継続して2ヶ月を超えても雇われているときは次のとおりです。
    • ①その者から「扶養控除等の申請書」が提出されたとき。
      月ごと支払……月額表の甲欄を適用して税額を計算します。
    • ② ①の申告書の提出がないとき。
      月ごと支払……月額表の乙欄を適用して税額を計算します。
米国人が1年を越える雇用契約で、今月から会社に勤務しており、来月5日に給与を支払いますが、その際、給与の源泉徴収はどのようにするのでしょうか?
給与所得者の扶養控除等申告書の提出を受け、一般の社員と同様に源泉徴収をしてください。
その者が国内において、継続して1年以上住居することを通常必要とする職業を有することとなるので、居住者となります。なお、在日米国軍隊の構成員、軍属およびこれらの者の家族は、税法上非居住者となりますので非居住者としての源泉徴収をする必要があります。