当社の取締役の自宅を建築しました。取締役に請求する額は、工事原価に間接費用を加えた額でよろしいでしょうか?
取締役に対して請求する工事代金は、工事原価に一般管理費と販売費( 広告宣伝費、交通費および仲介手数料などを除いた額 )を勘案し、合理的に計算した額を加え、さらに貴社の一般的な利益を見込んで請求してください。
家屋や土地を値引販売することにより供与する経済的利益の額は、一般的に多額になると考えられ「商品等の値引販売」の適用はないと考えられます。
社内にゴルフ愛好家が多くなったので、この度、社内コンペを行うことになりました。費用は会社負担にしようと思っています。この費用を従業員のレクリエーションとして福利厚生費で処理してもよいでしょうか?
現状ではゴルフコンペの費用を会社負担として従業員のための福利厚生費とすることは、一般的でないため福利厚生費での処理はできません。
従業員の慰安のために一般的に行われる旅行等に通常要する費用は福利厚生費となります。従業員の慰安のためとは、一般的に全従業員を対象とした場合が考えられ、この場合のゴルフは、たとえ愛好家が多くなったとはいえ、まだまだ一部の従業員のみにしか参加できないものです。会社が負担した費用は、プレーを行ったものに対する賞与となります。また、プレーを行ったものが、役員の場合は役員賞与になるとともに、損金とならず法人税も負担することになります。
この度、建設現場で使用する軽量鋼矢板を購入しました。購入した事業年度で一括して費用として処理してよろしいでしょうか?
お尋ねの軽量鋼矢板等は、建設のための必要な資材としての性質を有しております。
この資材等を購入した事業年度において、未使用のものについては、貯蔵品等の棚卸資産として計上しなければなりません。
当社は建設業界の団体に加入しています。加入した団体から要請されて会費を納入していますが、この会費の取扱いについて教えてください。
同業種団体に支払う会費についての取扱いは、次のとおり示されています。
【通常会費】
通常会費とは同業種団体等が、その構成員のために行なう広報活動、調査研究、研修指導、福利厚生、その他同業種団体として通常の業務運営のために経常的に要する費用の分担額として支出する費用をいいます。
① 支出した日の属する事業年度の損金に加算されます。ただし、同業種団体等において、その受入れた通常会費、不当に多額の余剰金が生じているとみとめられた場合には、当該余剰金が生じた時以後に支出する通常会費については、当該余剰金が適正な額になるまでは、前払費用として、損金の額に算入されません。
【その他の会費】
その他会費とは同業種団体が次にあげるような目的のために支出する費用の分担額として支出する費用をいいます。支出したときは前払費用とし、当該同業種団体がこれらの支出した日にその費途に応じて会費を負担した貴社が支出したものとされます。例えば、3月決算の法人が秋に行なう同業種団体の懇親会の費用を3月末に支出したとすると、その期は前払費用とし、翌期において交際費に振替処理をすることになります。その他会費に該当する場合の、貴社の経理処理の取扱いは次のとおりです。
①会館、その他特別な施設の取得または改良→ 繰延資産
②会員相互の共済→ 福利厚生費
③会員相互または業界の関与先等との懇親等→ 交際費等
④政治献金、その他寄付→ 寄附金
従業員が商用で出張しているときに交通違反をおこし、交通反則金が課せられました。この交通反則金を会社が負担した場合の取扱いについて教えてください。
交通違反が商用途上でおこしたもので、まさしく業務に関連して引き起こした行為の場合は、一般的な費用となります。
ただし、税務上は損金にはならないので実務的には法人税別表4で加算して、その扱いをその他の社外流用とします。なお、従業員の給与としては課税されません。ちなみに、プライベートのときにおこした交通違反の反則金を会社が負担したときには、その者に対する給与となり、源泉所得税を徴収します。
従業員が業務中に交通事故をおこし、相手方に損害を与えてしまいました。この損害に対して賠償金を支払った場合、損金になるのでしょうか?
従業員がした行為によって相手方に与えた損害について、法人がその賠償金を支出したときは、次のとおり取扱われています。
1)その損害賠償金の対象となった行為等が業務遂行に関連するものであり、かつ、故意または重大な過失に基づかないものである場合には、その損害賠償金は給与以外の損金に算入されます。
2)その損害賠償金の対象となった行為等が法人の業務遂行に関連するものであるが、故意または重大な過失に基づくものである場合または法人の業務に関連しないものである場合には、その支出した損害賠償金に相当する金額は当該役員または使用人に対する債権とします。
得意先が水害により1階の店舗部分が水没したため、災害見舞金100万円を支出することにしました。この費用は、交際費等になるのでしょうか?
得意先の被災による復旧過程で支出する災害見舞金等は、贈答のために要する費用というよりは、むしろ得意先の救済を通じて、自らが被る損失を回避するための費用となります。
したがって、被災前の取引関係の維持、回復を目的として災害発生後相当の期間内*にその取引先に対して支出する災害見舞金は、交際費等に該当しないこととされます。雑費で経理処理されるとよいでしょう。
※相当の期間とは、営業活動を再開するための復旧期間となります。
会社のホームページを制作したいと考えています。制作費用は広告宣伝費として処理すればよいのでしょうか?
広告宣伝費として必要経費になります。
ただし、データーベースやネットワーク等の高度な機能を付加するといったシステム開発やプログラミング等の費用の場合は、ホームページとソフトウェアの制作費用と区分して処理します。ソフトウェア費用は無形固定資産として計上し耐用年数に応じて減価償却します。
社屋の屋根全体を塗装し直した場合は、資本的支出ですか?修繕費ですか?
防火塗装に変更し、2年間にわたって2000万円および1500万円かけて完了しました。
この場合は資本的支出に該当します。
ただし、自然災害による破損部分の補修費等には修繕費が該当します。なお、ご質問のケースでは、2年間で改良されたものですから、2年間に分けて計算することになるでしょう。
借上住宅を当社の従業員に貸与していますが、当社が支払う家賃の50%に相当する額が現物給与の金額になるのですか? それとも100%ですか? 徴収すべき家賃の額は、いずれでしょう?
従業員から徴収する賃貸料の額が、通常の賃貸料の額の50%相当額以上であれば、経済的利益はないものとされるので、源泉徴収はしなくて構いません。
一定の者に専属して役務を提供する従業員については、その受ける経済的利益について給与所得者の現物給与と同じ扱いを受けることになります。
この度、臨時雇いの労務者を採用しました。支払う賃金について所得税の課税関係が生ずると思われますが、具体的にどのように取り扱ったらいいでしょうか?
臨時雇いやアルバイトなどを雇用し、それらの者に支払った賃金も源泉徴収の対象となります。
この場合は、次のとおり源泉徴収税額を計算することになります。
(1)あらかじめ定められた雇用期間が2ヶ月以内で、働いた日や時間によって計算して支払う賃金については「給与所得の源泉徴収税額表」の日額表丙欄を適用して税額を計算します。
(2)(1)に該当していたが、雇用期間を延長し、同一の雇用主のもとに継続して2ヶ月を超えても雇われているときは次のとおりです。
- その者から「扶養控除等の申告書」が提出されたとき。
月ごと支払……月額表の甲欄を適用して税額を計算します。
- 1.の申告書の提出がないとき。
月ごと支払……月額表の乙欄を適用して税額を計算します。
当社では役員および全従業員を対象として2泊3日の慰安旅行を実施することにしました。この費用は、給与として課税しなければならないのでしょうか?
従業員レクリエーション旅行や研修旅行を行った場合、使用者が負担した費用が参加した人の給与として課税されるかどうかは、その旅行の条件を総合的に勘案して判定します。
従業員レクリエーション旅行の場合は、その旅行によって従業員に供与する経済的利益の額が少額の現物給与は強いて課税しないという少額不追及の趣旨を逸脱しないものであると認められ、かつ、その旅行が次のいずれの要件も満たすものであるときは、原則として、その旅行の費用を旅行に参加した人の給与としなくてもよいことになっています。
(1)旅行の期間が4泊5日以内であること。
海外旅行の場合には、外国での滞在日数が4泊5日以内であること。
(2)旅行に参加した人数が全体の人数の50%以上であること。
工場や支店ごとに行う旅行は、それぞれの職場ごとの人数の50%以上が参加することが必要です。
(注)上記いずれの要件も満たしている旅行であっても、自己の都合で旅行に参加しなかった人に金銭を支給する場合には、参加者と不参加者の全員にその不参加者に対して支給する金銭の額に相当する額の給与の支給があったものとされます。
従業員が結婚するにあたり、お祝い金を支給したいと考えています。これは、給与所得として課税しなければいけないのでしょうか?
結婚祝金に関しては、原則的には給与所得となります。
ただし、その金額が支給を受ける方の地位等に照らして、社会通念上相当と認められるものについては、課税しないこととされています。